コム族の囲炉裏とは

2016年12月12日 - 17:00:00

少数民族コム族は、「火の神は人間に幸せな生活を与える神様」とみなしています。そのため、コム族の家には、いつも火が点っている囲炉裏があります。

壮大な山々を背景にして、コム族の高床式の家で“囲炉りの炎が踊る”という風景はコム族の村に暖かい雰囲気を与えるとよく言われています。現在、火を起こす道具はたくさんありますが、昔ながらの発火用具を使っている人も残っています。それは、火の神を起こさせる最も早い方法と考えられているのです。

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囲炉りは家族団らんの場である。

コム族の伝統的な発火用具は、割り竹の縁に割れ目を入れた竹に直接当てて、前後に強くこすりながら発火させる方法です。竹は青竹でなく、切り取ってから時間が経ったものほど、早く火が出てきます。コム族の一人メ・ヴァン・タットさんの話です。

(テープ)

「この発火法は昔から伝わるものです。最初にやったのは誰だかわからないですが、私たちの先祖が使っているもので、コム族の伝統的な発火法です。」

コム族は、家の建設、囲炉りの位置、それから、火の神を祀る信仰について、独特な規則があります。コム族の家は大小を問わず、3つの囲炉りを設置しなければなりません。一つ目の囲炉りは、右の部屋にあり、毎日の食事をつくるための場所です。ベトナム民族学博物館の研究者ヴィ・ヴァン・アン博士は次のように語りました。

(テープ)

「コム族の家は高床式の家で、部屋が3つあるのが一般的です。階段から家に入ると、右の部屋があって、この部屋の左方に囲炉裏があります。この囲炉りは毎日の食事を作るための場所で、囲炉りの上には、食料を乾燥させる棚がかけてあります。この囲炉りは、単に食事を作るわけではなく、その囲炉りの周りの空間は居間として来客を接待する場所にもなります。」

2つ目の囲炉りは、真ん中の部屋にあります。この囲炉りは先祖を祀るところで、「祀る囲炉り」とも呼ばれています。真ん中の部屋にある囲炉りは、コム族にとって神聖なところで、知らない人は入ってはいけません。2つ目の囲炉りとその周辺は、家の最も大切な空間で、家族の重要な行事はこの空間で行われます。先ほどのヴィ・ヴァン・アン博士は次のように話しています。

(テープ)

「コム族は、先祖に料理を備えるとき、その料理を別の囲炉りで作らなければならないと考えています。先祖は清潔で神聖だと考えているからです。そのため、先祖を祀る儀式は、真ん中の部屋でしか行われません。」

そして、3つ目の囲炉りは左の部屋にあります。おこわを作るためだけに使用されますから、「おこわの囲炉り」とも呼ばれています。その年の初収穫のもち米はこの囲炉りでおこわをつくり、米の神様に供えられます。そのため、囲炉りの道具は神聖で、他のところへ持って行ってはいけません。

コム族の考えでは、囲炉りは火の神様の生まれ変わりであり、生命と繁殖を象徴するものです。この考えは今もなお、保たれており、囲炉りはコム族の精神的生活面でも日常生活にも欠かせない存在であり続けています。