民謡クアンホを守りつづけてきた取組

(VOVWORLD) -クアンホとは、男女がグループに分かれて、歌の掛け合いをする遊びです。

ご機嫌いかがですかみなさん。ハノイ便りの時間がやって参りました。

去る2月23日、民謡クアンホの発祥地である北部バクニン省は民謡クアンホがユネスコ=国連教育科学文化機関により世界無形文化遺産として認定されて10周年を記念する式典を行いました。この10年間、バクニン省は民謡クアンホの保存に関して、ユネスコと公約した内容をきちんと実施してきました。今日のこの時間は民謡クアンホとはどんな民謡なのかということとその民謡を守りつづけてきた取り組みについてお伝えします。

民謡クアンホ発祥の地はハノイから車で1時間ぐらいのところにあるベトナム北部バクニン省とバクザン省あたります。クアンホとは、男女がグループに分かれて、歌の掛け合いをする遊びです。男性と女性が4~5人のグループが、春と秋の祭りなどで歌い合います。一方のグループが歌ったら、もう一方のグループはその歌と同じメロディーに違う歌詞をつけて歌い返します。歌が、ある詩の一部分だった場合は、返す歌も、その詩の中の言葉でなくてはならないなどのルールがあります。

また、クアンホを歌うのは男女のグループなので、歌の内容も恋愛や友情に関するものが最も多いです。故郷への思いなどを歌うものもあります。祝い事や宗教儀式、雨乞い(あまごい)などのお願いごと、厄除け(やくよ)の歌もあります。民謡クアンホのテーマは様々ですが、一番多いのはなんといっても愛情ものです。

クアンホを歌う人々は独特な民族衣装を身に纏う必要があります。男性は2枚重ねの丈の長いゆったりした上着に白いズボンで、黒い傘をさします。そして女性は、パッチのような胸当ての上に長い上着、長いスカートをはきます。カラスのくちばしと呼ばれる黒いスカーフを頭に巻いて、円形の菅笠を手に持ちます。

そして、歌う前には、お客さんにお茶などを振る舞い、誠意を込めてもてなすのがクアンホの定番です。クアンホは、歌だけでなく、衣装や接待なども含めて、ベトナム独特のものです。

かつて、ハバック省といわれていたこのあたりは現在、バクニン省とバクザン省となっていますが、クアンホが維持、保存されています。

先ごろ、バクニン省で行われたクアンホの地へ戻るというフェスティバルで、同省人民委員会のグェン・トゥ・クイン委員長は「ユネスコにより世界無形文化遺産として認定されてからこの10年、バクニン省はユネスコとの公約をきちんと履行してきた。

具体的に同省はクアンホの教育、伝統的公演空間の復活、世界への広報などを行ってきた。」と明らかにしました。特に、バクニン省はクアンホの芸人に毎月手当を支給するという制度をベトナムで初めて実施しました。クイン委員長の話です。

(テープ)       

「クアンホが世界文化遺産として認定されてから、この文化遺産に対する地元の住民の意識が高まっています。特に、クアンホの歌い手はクアンホを若い世代を熱心に教えています。また、文化研究者、収集者、 アーチストらはクアンホの維持、発展に日夜を問わず取り組んできました」

クアンホが世界文化遺産に認定された1999年、クアンホを歌う村の数は49箇所、クアンホ・クラブの数は34だけでしたが、現在、その数はそれぞれ10倍になっています。クアンホは至るところで歌われ、地元の人々の精神生活上欠かせない存在となってきました。

現場の音       

バクザン( Bac Giang) 省ベトイェン( Viet Yen) 県ニンソン( Ninh Son)村のヒューギー(Huu Nghi)村落でこの20年間、連続して活動を行っているクアンホ・クラブがあります。

特筆すべきことはこのクラブのメンバーはみな65歳~80歳のお年寄りであるということです。普段、これらの人々は農民、小売商、定年退職者でしたが、クアンホの独特な衣装を身にまとうと立派なクアンホの歌い手となります。

同じクアンホクラブに参加しているグェン・テイ・モさんとグェン・テイ・フアンさんは今年80歳です。モさんの話を聞いてみましょう。

(テープ)    

「幼い頃、妹や母の真似をして、クアンホを歌いましたが、今、定年退職したので、クアンホ・クラブに参加しています。クアンホの古いメロディーを歌うのは難しいですが、その歌詞は面白くて、意義深いから好きです」

クアンホ・クラブの責任者であるチャン・バン・テ( Tran Van The) さんは「私と女房の他、この村の多くの芸人は子供たちを始め、若者にクアンホを教育してきたよ。この村では3,4歳の子供さえもクアンホを歌える」と明らかにし、次のように語りました。

(テープ)

「村の若者達はクアンホが大好きだよ。彼らはクアンホの歌詞とメロディーを素早く暗記し、わずかの練習の後、歌えるようになるんだ。クアンホを次の世代にも伝えるようにがんばるつもりだよ。」

ヒューギー(Huu Nghi)村落のクアンホクラブはよく他の村落のクアンホクラブと交流したり、ベトイエン県のクアンホのど自慢大会に参加したりしています。また、この村落のクアンホの芸人はクアンホの公演を外国ですることもあります。

では、おしまいにクアンホをききながら、お別れしましょう。

(曲)

「~」をお送りしました。今日のハノイ便りは、ユネスコ世界遺産の認定を受けて10周年となるクアンホ民謡の維持、保存に対する取り組みについてお伝えしました。それでは、今日はこのへんで。

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