福島第1原発の凍土壁、全面凍結へ作業開始

(日本経済新聞) -東京電力は22日、福島第1原子力発電所の汚染水の増加を抑える「凍土壁」について、全面凍結に向けた作業を始めました。残していた最後の区間を凍らせる。早ければ今秋にも完成します。
福島第1原発の凍土壁、全面凍結へ作業開始  - ảnh 1        写真:TTXVN

345億円を投じて昨年3月から凍結を始めた凍土壁は、ようやく全面運用になります。井戸でのくみ上げと併せて原子炉建屋内への地下水の流入を抑え、2020年までに建屋内の汚染水の処理を終える目標です。

凍土壁は1~4号機の周り約1.5キロメートルの地盤に1メートル間隔で埋め込んだ配管に、冷却液を流して周囲の土を凍らせて築くということです。建屋内への地下水の流入を減らして汚染水の増加を抑える狙いで、東電は段階的に凍結範囲を広げてきました。

一度に凍結すると建屋周辺の地下水位が急激に変わり、建屋内にたまる汚染水が周囲に漏れ出る危険性があります。そのため一部だけ残して作業を進めていました。

東電の作業員が22日午前9時、残る山側7メートルの区間で冷却液を流すために配管のバルブを開けました。2~3カ月かけて地下約30メートルまで凍らせます。資源エネルギー庁の木野正登廃炉・汚染水対策官は「ほかの汚染水対策と併せてしっかりと効果を出していきたい」と話しました。

凍土壁が完成しても流入を全て防げるわけではありません。東電は全面凍結後、流入量を現在の1日約130トンから100トン未満に抑えられるとみています。1~4号機の周りに約40カ所ある井戸でのくみ上げと併せ、汚染水の増加を制御する考えです。

凍土壁は凍結維持に年十数億円かかります。遮水効果ははっきりしておらず、費用に見合う効果なのかを検証する必要があります。

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