4半世紀つづいたアニメブーム

(VOVWORLD) - 日本のアニメがベトナムの多くの子供たちにとって欠かせない存在となったことは事実です。

ホアイ こんにちは、ホアイです。 

ソン こんにちは、ソンです。25年前の1992年に、ベトナムで、初めて「ドラえもん」が発行されました。「ドラえもん」は日本のアニメブームのさきがけとなったといえますね。

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ホアイ そうですね。日本のアニメブームはこの25年間ずっと、続いていますが、この現象に賛成する人がいれば、子供の健全な成長に悪影響をもたらすとして反対する人もいます。

ソン それにしても、日本のアニメがベトナムの多くの子供たちにとって欠かせない存在となったことは事実です。その意味で、日本アニメをどのように活用するのはこれからの課題となりますね。では今日のこの時間は、ベトナムにおける日本のアニメブームについてお伝えします。

ホアイ はい。1990年代初めまで、停滞していたベトナムの子供向けの出版市場は、「ドラえもん」シリーズを発行することで、日本のアニメという新風を迎えましたね。

ソン そうですね。1992年から1995年までの3年間で、「ドラえもん」シリーズは全体の発行部数は20万部にのぼり、大成功を収めました。その後、「ドラゴンボール」、「名探偵コナン」、「セーラームーン」など他の一連の日本アニメシリーズが出版されました。1996年から2000年までの5年、ハノイのキムドン出版社とホーチミン市のチェー出版社を始め、いくつかの出版社は約100シリーズのアニメを市場に出しました。

ホアイ その頃、8歳の私の妹に、毎週少なくとも2、3部のアニメを買わなければならなかったんですよ。

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ソン なるほど。当時、大学生だったの私も、「ドラゴンボール」を夢中で読みました。このアニメは毎週金曜日に出版されるので、金曜日になると、家の近くの本屋さんへ買いに走ったんです。

ホアイ 子供たちはもちろん熱心に受け入れていましたね。しかし、こうした「アニメブーム」を前に、社会的世論による配慮の兆候が見え始めました。それは、「子供たちがアニメに夢中になって勉強がおろそかになる」、「文字が小さすぎて紙が黒っぽいので子供たちの視力に影響する」、「どうしてアニメには暴力や 罵倒(ばとう)するシーンがあるのか」などです。

ソン そうですね。その後の時期、つまり2001年から2004年まで、日本のアニメブームはピークに達しました。この4年の間に、400シリーズ以上もの日本のアニメが出版されました。

ホアイ すごいですね。こうしたアニメ市場は飽和状態に陥っていました。以前なら、数十万部消費したはずのアニメが、この期間に1万部しか出回らなかったそうですよ。

ソン ええ、そうですね。この段階に至って、日本のアニメについて世論が前向きでない姿勢を示しました。特に、アニメに対して厳しく批判する意見も出ました。「それは真の文化ではない」、「暴力や 低俗(ていぞく)なシーンが多すぎる」、「アニメは児童文学の審美眼や感性を壊してしまう」などの批判です。

ホアイ そうですね。子供にアニメを読ませない父母たちもいました。私は、娘にアニメを読むことを禁止しなかったものの、本屋さんに並んでいる数多くのアニメの中から子供の健全な成長にいいアニメを選ばなければなりませんでした。本当に困りました。

ソン そうですね。出版社こそがこの問題に責任を持つべきであると思われました。なぜなら、アニメに対する批判は、出版社が原稿を簡単に審査し、翻訳・編集することから発したんですから。

ホアイ そして、2001年から2004年まで、ベトナムの各出版社が、著作権を無視し、日本のアニメを自由に開拓したことで、ベトナムにおけるアニメ市場が混乱状態に陥ってしまいました。

ソン しかし、2004年10月26日に、ベトナムが著作権保護に関するベルヌ条約に正式に加盟したことはアニメ市場の安定に大きな影響を与えていますね。

ホアイ そうですね。ベトナムがベルヌ条約に加盟して以来、出版された日本アニメは大幅に減ったものの、価値があり、子供の成長にいいものが多いと評されています。

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ソン 日本アニメを得意分野とするキムドン出版社の担当者によりますと、作品がベトナムで成功を収めた決定的な要素は、子供たちの心理にあった作品を選ぶことで、「ドラえもん」、「名探偵コナン」など、日本で成功を収めたアニメシリーズがベトナムにおいても成功したということです。

ホアイ 両国ともアジアの国であるためか、文化と人生観について共通点がかなり多いとみていいでしょうね。これはベトナムの漫画出版界にとってプラスに働くものですね。さらに、現時点では、ベトナムの子供たちが日本の文化、日本人の名前、日本の地名の発音などもわかるようになりました。それは両国民の相互理解を深めるいいチャンスではないかと思います。

ソン 「ドラえもん」が初めて発行されてから25年経ちましたが、日本のアニメはベトナム社会に定着しました。日本のアニメフェスティバルがよく行われるほか、日本アニメの喫茶店も開かれています。

4半世紀つづいたアニメブーム - ảnh 4 A4V喫茶店

ホアイ ハノイでは、A4Vという喫茶店は、日本の漫画とアニメが好きな人にとって集いの場所となっています。2014年10月に開店したこの喫茶店は1日平均、約100人の来客があるそうです。A4V喫茶店の店長リュー・ホアン・ハイさんの話です。

(テープ)

「当店の1階はアニメグッズを売るところです。2階はアニメ喫茶のところで、3階はアニメを見るところです。当店のアニメは私たちが集めた作品のほか、お客さんに寄付してもらったアニメも多いです。現在、約8000冊になっています。」

ホアイ 日本のアニメはベトナムの若者の多くの生活に欠かせない存在になっていますね。A4V喫茶店のお客さんの一人グエン・ホアン・ハイさんの話です。

(テープ)

「約4ヶ月前に初めてこの喫茶店にきましたが、それ以来、週少なくとも2回来ています。ここでは、古くても、大好きなアニメを読むことができるし、みんなと一緒にアニメを見ることができます。これにより、同じ趣味を持つ多くの友達ができました。」

4半世紀つづいたアニメブーム - ảnh 5 A4Vのアニメグッズ

ホアイ 日本のアニメの普及により、ベトナムのアニメ産業も発展を見せていると言われていますけど、本当ですか。

ソン そうですね。日本のアニメを読んで成長した新しいアニメ作家が出てきて、ベトナムのアニメ産業を支えています。日本外務省が今年主催した第10回日本国際漫画賞では、55の国と地域から296作品の応募があり、その中で、ベトナムの27歳の漫画家ファン・カオ・ハ・ミさんが優秀賞を獲得しました。ミさんの話です。

(テープ)

「優秀賞を獲得したことを聞いて、最初はびっくりしました。その後、誇りに思いました。それは自分の誇りだけでなく、ベトナムの漫画の誇りでもあります。ベトナム漫画が最初の発展段階にあることから、この賞はベトナム漫画の将来への希望を私たちにもたらしているんです。」

ソン 日本漫画のよさを学んでベトナム漫画を発展させて欲しいですね。では、おしまいに一曲お送りしましょう。「~」です。

(曲)

「~」をお送りしました。今日のハノイ便りは、ベトナムにおける日本のアニメブームについてお伝えしました。それでは、今日はこのへんで。

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