ドンカータイトゥの特別講座

(VOVWORLD) -ドンカータイトゥは元々、フエの宮廷雅楽から派生したもののようです。19世紀の終わり頃にベトナム南部で広まり、南部を代表する民間芸能になりました。

ホアイ んにちは、ホアイです。

ソン  こんにちは、ソンです。南部ロンアン省における南部の民間芸能ドンカータイトゥ( Don ca tai tu)の特別講座を聞き保存活動をしている様子についてお伝えします。

ホアイ これまでのハノイ便りでドンカータイトゥについて紹介しましたが、今日はもう一度簡単にご紹介します。

ソン そうですね。ドンカータイトゥは元々、フエの宮廷雅楽から派生したもののようです。19世紀の終わり頃にベトナム南部で広まり、南部を代表する民間芸能になりました。

ホアイ ドンカータイトゥは漢字で書くと「琴歌才子」と表記しますが、琴に合わせて歌う才子という意味だそうです。ベトナム語で、才子は楽器も歌もできるという意味があります。

ソン ドンカータイトゥは一般の市民が集って、地面で座って農作業の後などに演奏する場合が多く、プロの音楽家によるパフォーマンスというよりは一般の農民の娯楽として演奏されていますね。

ホアイ ドンカータイトゥーで演奏される主な楽器はキムという弦楽器を始め、グイエット、コー、チャン、バウという5種類の弦楽器です。芸人たちは伝統的な歌曲に基づいて、自分流に演奏します。このことはドンカータイトゥー芸術を聴く人にとって、魅力がありますね。
ソン そうですね。ドンカータイトゥーには約20曲の基本的な歌曲があり、喜びを表現する6つの曲、祭礼の時に演じられる7つの曲、喜びや楽しみを表現する3つの曲、寂しさ、別れを表わす4つの曲があります。その後、ドンカータイトゥーには楽士、芸術家により作曲された18の曲があります。
ホアイ ドンカータイトゥーは1世紀に渡り発展し、南部に根付いた精神の特質を表わしています。

ソン  前おきが長くなりましたが、今日のハノイ便りはロンアン省におけるドンカータイトゥの特別講座についてお伝えします。それは目の不自由な芸人チャン・ゴック・ヌオンさんの講座です。

ドンカータイトゥの特別講座 - ảnh 1

ホアイ ヌオンさんは南部ロンアン省カンドウーク県に生まれ、これまでずっとこの地に住んでいます。ロンアン省はドンカータイトゥの揺籃の地の一つですから、小さい時から、この民謡の中で生活してきました。

ソン 目は不自由ですが、恵まれた才能と勤勉な練習により、ヌオンさんはドンカータイトゥーへの愛を若者たちに伝えてきました。

ホアイ ロンアン省カンドウーク町にあるヌオンさんの小さい家はいつもドンカータイトゥーの音が響いています。これはドンカータイトゥー講座の学員が練習している音です。数ヶ月前から、講座に参したボー・ミン・ヒエウ( Vo Minh Hieu) 君は次のように語っています。

(テープ)

「ドンカータイトゥーが大好きですが、この芸能がよくわからないので、ヌオンさんの講座に参加しているのです。ドンカータイトゥーを歌うと故郷や人々への愛情が高まり、誇りに思います」

ホアイ 多くの人々がヌオンさんの講座に参加した理由としてあげられるのはドンカータイトゥーに関するヌオンさんの知識と才能に敬服するだけでなく、教え子に対するヌオンさんの熱心さによるものも大きいです。その熱心さはドンカータイトゥーを教える方法を通じて見られます。

ソン ヌオンさんの教え子の中には目の不自由な人もいます。これらの学員に対し、ヌオンさんは歌い方と琴の引き方を教える時、幾度も繰り返し手引きしなければならないので、とても大変です。ヌオンさんの講座の教え子の一人グェン・テイ・トゥイ・チャン( Nguyen Thi Thuy Trang) さんは次のように語りました。

(テープ)

「これまでドンカータイトゥーの多くのメロディーを練習しました。ヌオンさんは真面目に教えてくれました。ドンカータイトゥーの歌い方は難しいですが、大好きだから、勉強に頑張っています。」

ソン ヌオンさんは子供15人の家庭に生まれましたが、4歳の時から病気で目が不自由になりました。14歳の時、点字を勉強し始めました。その後、ピアノを学びましたが、経済的に余裕がなかったから、やめせざるを得ませんでした。

ホアイ 目が不自由でも、誰にも頼らず、自立した生活を送る決意を持つヌオンさんは、その後、ドンカータイトゥーを学ぶことにしました。健常者にとっても、琴の弾き方を学ぶのは大変ですが、ヌオンさんのように目が不自由な人にとって、より難しいでしょう。

ソン そうですね。しかし、伝統的音楽に対する熱心さと練習の努力により、ヌオンさんはギターだけでなく、ドンカータイトゥーの演奏に使わるベトナムの伝統的楽器も弾けるようになりました。

ホアイ ヌオンさんは幾度も目の不自由な人を家に連れてきて、ドンカータイトゥーを教えました。ヌオンさんにとって、学費を受け取るかどうかは問題ではありません。教え子がドンカータイトゥーを歌えるようになることが、嬉しいのです。そのため、南部ドンタップ省、ソクチャン省、チャビン省など遠い所からの多くの人々もヌオンさんの講座に参加しました。ヌオンさんは次のように語りました。

(テープ)

「私は伝統的音楽を守りたいから、学費を受け取りません。ドンカータイトゥーを愛好する多くの人々がこの講座に参加しています。最初はドンカータイトゥーのご先祖に礼拝してから、講座に参加できます」

ホアイ ヌオンさんは数十年にわたり、ドンカータイトゥーの演奏と普及に全力を尽くしてきました。ヌオンさんの多くの教え子は現在、ドンカータイトゥーの公演で活躍して、ドンカータイトゥーの維持、保存に寄与していますね。

ソン そうですね。では、一曲お送りして、おしまいにしましょう。「~」です。

(曲)

「~」をお送りしました。今日のハノイ便はドンカータイトゥの特別な講座についてお伝えしました。それでは今日はこの辺で。

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