少数民族ムオン族の文化を守る取り組み

(VOVWORLD) - ホアビン省タインソン県は、その取り組みを学校で展開している地方として知られています。

ホアイ こんにちは、ホアイです。

ソン こんにちは、ソンです。今日のこの時間は、少数民族ムオン族の伝統的な文化を守る取り組みについてお伝えします。

ホアイ はい。伝統文化の保存は、ベトナムだけでなく、世界各国の共通の課題ですね。

ソン そうですね。伝統文化はその民族のアイデンティティですからね。

ホアイ 54の民族が共存しているベトナムでは、少数民族の文化保存はさらに重要になっています。人口が少ないから、伝統文化の保存はより難しくなるんです。

ソン そうなんです。ではまず、少数民族ムオン族についてご紹介しましょう。

少数民族ムオン族の文化を守る取り組み - ảnh 1 ドラの演奏をしているムオン族の女性

ホアイ お願いします。ムオン族はベトナムに居住する少数民族の中で、およそ100万人で3番目に多い人口を抱えています。ムオン族は北部山岳地帯、特にホアビン省とタインホア省に多く住んでいます。民族・言語的には多数民族キン族と最も近いとされ、ムオン語はベトナム語とともにベト・ムオン語群としてまとめられています。ムオン族は山岳部で固有の文化を発展させたといわれ、タイ族との相互影響も大きく、また、およそ1万年前に生まれたホアビン文化にルーツを持つとされています。

ソン ムオン族は稲作に従事しており、水稲が主要な農産物となっています。彼らの居住地は道路端に近く、生産用地は多くあります。ムオン族の家は高床式の家で、住居の後ろは山の斜面であり、正面は広々とした畑に面しています。ムオン族の住居は風通しが良く、利便性が高いです。こうした高床式の家は山岳部の蒸し暑い気候に適しており、居住や財産の保管、猛獣から身を守る目的以外に、文化を守り抜く所でもあるとされています。

ホアイ ムオン族の伝統的民族衣装は独特で、彼らの審美眼を示しています。男性は前身頃にボタンで留めたスリットのあるシャツとワイドチューブのパンツを着用し、腰ベルトで縛ります。また、正月や祝日などに男性は紫か黄色いのシルクのシャツ、黒いコートを着用し、パープルの頭巾をかぶっています。

ソン 一方、女性の衣装のセットは身頃が短く、茶色か白いシャツ、白いブラウス、黒いスカート、白色あるいは青い頭巾となります。女性の衣装の特徴はスカートのウエストベルトや腰帯の模様です。ウエストベルトを織るためには工夫と器用さが求められ、織工の才能は模様のデザインや飾り付けに表れます。ムオン族の衣装についた模様はおよそ40種類あるようですが、人気があるのは竜の模様です。

少数民族ムオン族の文化を守る取り組み - ảnh 2 ムオン族の祭り

ホアイ ムオン族の独特な楽器としては銅のゴングや、二弦で演奏する二胡、ラッパなどがあります。また、ムオン族の民間文学も豊かで、長詩から昔話、民謡、諺、子守唄などにわたり、その中でムオン族ならではの文化を表すのが民謡です。

ソン ムオン族の民謡は様々な種類がありますが、歌詞はキン族特有の六八体調の詩に似ています。結婚式に若い男女がよく民謡を歌っています。また、かつて、彼らは労働・生産にあたりながら、歌っていました。一日中歌っても、最後まで歌い切れない民謡もありますよ。歌詞とメロディーが豊かですからね。

ホアイ そうですね。ムオン族のこうした豊かな文化の保存への取り組みは近年、活発になっていますが、ホアビン省タインソン県は、その取り組みを学校で展開している地方として知られています。

ソン ハノイから西へ約100キロのところにあるタインソン県はムオン族の居住地です。同県のフォンカン小学校の生徒の中で、ムオン族出身の生徒は約8割を占めていますので、この学校は、ムオン族の伝統文化を物語る品々の展示室を設置することにしました。また、教師たちは授業の中で、ムオン族の文化を少しずつ紹介しています。フォンカン小学校のムオン族出身のディン・ティ・キム・ハイン先生の話です。

(テープ)

「ムオン族の一人で、我が民族の伝統文化を生徒たちに紹介するようにしています。これは、ご先祖から伝わったもので、子どもたちに理解してもらえるように詳しく説明したりしています。」

ソン フォンカン小学校のほか、タインソン県のほとんどの学校で、ムオン族の伝統文化の展示空間が設置されました。この空間で展示されている品々は、家具や楽器、写真、資料などムオン族ならではの文化を示すもので、教師たちのほか、生徒たちとその家族が集められました。これらの品々は授業のほか、課外活動でよく使われ、ムオン族の文化に対する生徒たちの興味を芽生えさていると評されています。フォンカン小学校の5年生ディン・トゥイ・ガンちゃんの話です。

(テープ)

「私はムオン族の一人で、授業で先祖から伝わる伝統文化を教えてもらえてうれしいです。授業は楽しいですよ」

ソン フォンカン小学校のディン・スアン・フォン校長によりますと、学校は展示空間を設置するために、ムオン族の人々が昔から使っている家具や楽器などの収集を生徒たちの家族に呼びかけていました。

ホアイ 幸い、フォン校長は、生徒たちの家族は学校の呼びかけに積極的に応えてくれたと述べ、次のように語りました。

(テープ)

「学校は、展示空間の設置に多くの力を入れていました。教師たち、生徒たち、そして、ご家族の大きな支援により、充実した展示空間を設置することができました。これは、ムオン族の伝統文化の重要さに対する生徒たちの認識向上に役立っていると思います。」

ホアイ 展示空間の設置のほか、職人たちに頼んで、生徒たちにムオン族の伝統文化を教えている学校もあります。クタン小学校は課外活動としてムオン族の伝統的な歌と踊りを教える教室を開いています。その教室の先生を務めている職人ディン・ヴァン・タインさんは次のように話しています。

(テープ)

「ムオン族の伝統的な歌や踊りを生徒たちに教えることができ、うれしく思っています。子供たちにその伝統文化を受け継いでほしいです。」

ホアイ 課外活動で才能を示した生徒たちによるクラブが立ち上げられましたね。

ソン そうですね。この地の学校は、ムオン族の伝統的な民謡を競い合う「のど自慢大会」や伝統的な踊りのコンクールなどを企画しているようです。クタン小学校の生徒グエン・フォン・トゥイちゃんの話です。

(テープ)

「ムオン族の伝統的な民謡と踊りを習うことができてうれしいわ。職人たちと先生が教えてくれるので、たくさんの民謡を歌ったりすることができるようになりました。これから、ムオン族の民謡と踊りを多くの人に知ってもらうため、あっちこっちへ公演に行きたいです。」

ソン 先ごろ、タインソン県の行政府は2020年までのムオン族の伝統文化の保存・開発と2025年までのビジョンという計画を発表しました。これは、ムオン族の伝統文化の保存に弾みをつけるでしょうね。ではおしまいに、一曲をお送りしましょう。

(曲)

「 」をお送りしました。今日のハノイ便りは、少数民族ムオン族の伝統的な文化の保存への取り組みについてお伝えしました。それでは、今日はこのへんで。

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