テイグエン地方の独特な「石の楽器」

(VOVWORLD) - テイグエン地方の人々は創意工夫を凝らし、人間と自然との調和を示すような石の楽器を創りあげてきました。

少数民族の豊かな文化で知られる中部高原地帯テイグエン地方では、数千年前から石でできた楽器が姿を現しました。「ダンダ―」と呼ばれるこの独特な楽器の音色はテイグエン地方の各少数民族の気持ちや愛情、希望などを表わし、森の「せせらぎの音」のようにも聞こえ、人々の心を虜にしています。

(テープ:ダンダ―の音)

テイグエン地方の独特な「石の楽器」 - ảnh 1

1949年、テイグエン地方ダクラク省にある道路工事で、人間によって施された形跡がある11本の石が発見されました。フランスの考古学者Georges Condominasさんがこれらの石をフランスに持ち帰って研究したところ、これは今までない楽器であるということです。現在、11本の石からなるこの楽器はパリ人類博物館で展示されています。

それ以来、テイグエン地方とその周辺で、約200のダンダ―が発見されました。その中で、カインホア省カインソン県トハプ村に発見されたダンダ―は3千年前から作られたもので、歴史が最も長いダンダ―です。また、この村で発見された多くの遺物から見ると、この地は昔、ダンダ―の大きな産地であったということが分かりました。カインホア省博物館の研究者ファム・タイン・ビンさんは次のように話しました。

(テープ)

「考古学者によりますと、この村は前史時代、ダンダ―を作る大きなところでした。ダンダ―を発見しただけでなく、ダンダ―をつくる時に生じた小さい石なども発掘されたのです。これはダンダ―の発祥地とされています。」

テイグエン地方の人々は最初、鳥や動物が田畑を食い荒らすのを守るため、この石の音を使って鳥や動物を追い払いました。その後、この石の数本を並べて叩くと、美しい音色を出せることを発見し、「ダンダー」を作って、よく行事に使用しました。

テイグエン地方の人々は創意工夫を凝らし、人間と自然との調和を示すような石の楽器を創りあげてきました。楽器の元になる石は異なる長さや厚さに切られ、多様な音声を発することが狙いです。長くて厚い石の棒は低音でクリアな音声を発しますが、短くて薄い石の棒は高音を発するものです。

ダンダ―は人間と神、過去と現在を結び付けるものであるとされています。普段、ダンダ―は大切に保管されますが、正月になると、飾り物として使われます。また、神聖な意味があることから、新米の収穫を祝う儀式や豊作を祈る儀式などで演奏される唯一の楽器です。

近年、ダンダ―は、伝統的な儀式だけでなく、外国人観光客向けの伝統音楽の披露会でもよく使われており、観光商品の一つとなっています。このダンダ―は伝統音楽はもちろん、外国の音楽も演奏することができます。

(テープ:ダンダ―の音)

ダンダ―の演奏によるロシアの音楽をお聞きいただきました。こうした演奏を聴いたロシア人観光客の一人は次のように話しています。

(テープ)

「ダンダーが大好きです。いろいろな所へ行きましたが、このような独特な楽器を楽しめたのは今回が初めてです。馴染みのあるロシアの曲がダンダ―で演奏されるなんて、ベトナムとロシアの間には国境がないような気がします。ダンダ―の音楽は私たちを近くさせていると思いますね。」

こうしたこの楽器の鳴らし方は依然として、テイグエン地方の各少数民族の代々に伝わっていて、民族文化の一翼を担っています。

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