バクザン省・カオラン族の結婚

(VOVWORLD) - バクザン省イエンテ県のカオラン族は今もなお、結婚に関する伝統習慣を保っています。

ベトナム東北部に居住している少数民族サンチ族は、カオランやサンチャイなどとも呼ばれています。2009年の国勢調査によりますと、その人口は約17万人で、大部分はトゥエンクアン省、タイグエン省、バクザン省などに住んでいます。その中で、ハノイから東北へ約90キロ離れたところにあるバクザン省イエンテ県のカオラン族は今もなお、結婚に関する伝統習慣を保っています。

バクザン省・カオラン族の結婚 - ảnh 1婚礼用品の準備 

バクザン省イエンテ県のカオラン族は結婚を大事にしており、結婚には顔合わせのお見合い、占い、婚礼用品の要求、結納、花嫁の迎えなど様々な儀式がありますが、最初の準備としては、媒酌人を選ぶことです。媒酌人は必ず男性で、結婚のすべてのことを担当する最高責任者となります。媒酌人は結婚後も新夫婦にずっと「お父さん」と呼ばれることから、媒酌人がいかに重要な役割がわかるでしょう。

イエンテ県トゥオンドン村に住むカオラン族の一人チャン・ヴァン・ゴさんによりますと、媒酌人は道徳の面で尊敬されるだけでなく、伝統文化にも詳しく、話し上手でなければなりません。そして、媒酌人は既婚者であり、子どもがいて、幸せな家族を持っているということが大切です。ゴさんは次のように話しています。

(テープ)

「媒酌人を選ぶ人は花婿側の家族です。幸せな家族を持っていることは媒酌人を選ぶときの最も重要な条件です。そして、媒酌人の年齢は30歳以上です。」

しかし、男性の家族が媒酌人を選んでも、その人に断れることもあります。イエンテ県トゥオンドン村に住むカオラン族の一人ニン・クアン・ギエップさんは次のように話しています。

(テープ)

「ある人に媒酌人になることを頼むとき、鶏1羽と1本のお酒をあげます。その人が同意したら、そのプレゼントを受け取りますが、拒否した場合、受け取りません。理由は、媒酌をしたくない、または、多くの結婚の媒酌人になったことにあります。」

バクザン省・カオラン族の結婚 - ảnh 2花嫁の家へ向かっている花婿の家族 

 媒酌人を選んだ後、道案内人も選びます。道の案内人は媒酌人を補助する役割を果たします。そして、カオラン族の結婚には「道を妨げる」という独特な習慣があります。この習慣では、女性の家族は、男性の家族が自分の家に近づくと、道に竹や紐を置いて妨害します。そこで、女性と男性の家族は会話をして会話の能力を競い合います。男性の家族は女性の質問やクイズに答えられる限り、道を進み続けることができなります。先ほどのニン・クアン・ギエップさんは次のように話しています。

(テープ)

「結婚式の前日、女性の家族は、紐などで道を妨害します。男性の家族は、女性の家族の質問やクイズに答えられるようにしなければなりません。もし答えられなければ、そこでしばらく待たなければなりません。実は、この習慣は、伝統的な風俗習慣に関する男性の家族の知識を調べるためのものです。」

「道を妨害する」習慣で最も重要な役割を果たすのは道の案内人です。彼は、女性の家族の質問やクイズに答えるので、伝統文化に詳しい人でなければなりません。

そして、媒酌人と道の案内人は、結婚式前に行われる顔合わせや結納式などの主宰者としての役割を果たします。先ほどのギエップさんは結婚の最初の儀式は顔合わせであると述べ、次のように話しています。

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「顔合わせで用意するのは、2羽の雄鶏や、コメを入れた2つのカゴ、2本のお酒などです。媒酌人は、顔合わせのとき、男性の家族を代表して、結婚式の日どりの選択や、婚礼用品の準備などについて女性の家族と話し合います。」

カオラン族の結婚式のパーティーで使われるすべての料理は男性の家族が負担します。そして、新夫婦にお金をあげる習慣はありません。

結婚式は2日間行われるのが一般的です。結婚式の夜、男性と女性の家族は徹夜で、歌いながら、新夫婦の幸福を祈ります。翌日、花嫁が花婿の家に着いたら、祈祷師は、悪魔を追い払う儀式を行います。

結婚後、新夫婦は男性の家に数日間泊まりますが、その後は花嫁の実家に戻り、子どもが産まれるまで住みます。

現在、バクザン省イエンテ県のカオラン族の結婚は複雑な儀式はなくなりましたが、「道の妨害」や、「徹夜して歌いながら、新夫婦の幸福を祈る」などの良き習慣は今もなお、保たれています。

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