ホレ族の村

ベトナム中部高原地帯テイグエン地方に集中的に居住している少数民族ホレ族は「プレー」と呼ばれる村を社会の単位にしています。村人は、村の団結と統一性を重視し、日常生活でも仕事でも互いに助け合っています。

ホレ族の村 - ảnh 1
ホレ族の祭り

ホレ族の村は小さいものもあれば、大きいものもありますが、40~50の世帯でまとまっている村は一番多いです。そして、村はその周辺の山や川の名前に基づいて名付けられます。村の立地は、水源と農作業ができる土地に近いです。

ホレ族の村では、村長は、村の物事に関する経験が豊かで、年をとる人で、経済的に余裕がある人でもあります。村長の威信は高く、村の生活に重要な役割を果たしています。また、それぞれの村には祈祷師がいます。村長と祈祷師は村の儀式を担当するもので、村の魂の面倒を見る役目も果たします。

ホレ族は一年中多くの儀式や行事を行いますが、そのやり方や決まりなどは口承で次世代に伝えられるので、村長と祈祷師は次世代に教えるという重要な役割です。テイグエン地方の少数民族の文化研究者ファム・ミン・ダットさんは次のように話しています。

(テープ)

「昔から、ホレ族はどんなものにも神が宿っていると考えています。そのため、一年中、死んだ人を祀る儀式、先祖を祀る儀式、新築の祝い儀式、稲の魂を祀る儀式などいろいろな儀式や行事をやっています。これは、神様に対し、村人に健康や平穏な暮らし、豊作などを恵むようお祈りをするためです。そのため、村長と祈祷師の役割はとても重要です。彼らはホレ族の伝統文化を守る人だと言っても過言ではないでしょう。」

その他、村長は、村の道路や水利の建設、村の農作業の管理、村人のけんかの仲裁なども担当しています。村長という役職は、親から子へ受け継ぐわけではなく、村人に選ばれます。そして、それぞれの氏族には頭がいます。それらの頭からなる顧問評議会は村長の補助にあたります。村長は村の物事について顧問評議会と話し合い、対策を決めるわけです。

村の村長は、村の物事について対策などを決めるだけでなく、伝統文化の保存にも重要な役割を果たしています。その代表的な村長は、クアンガイ省ソンハ県ソントゥオン村の村長ディン・ゴック・スさんです。スさんは、ホレ族の多くの楽器を作って演奏することができますので、国から「民間職人」として認められています。そして、彼は、ホレ族の民謡を集めて子供たちに教えています。少数民族の文化研究者ファム・ヴァン・チさんは、スさんのような村長はホレ族の過去を現在と結びつけるもとので、ホレ族の魂を守っていると例え、次のように話しています。

(テープ)

「ディン・ゴック・ス村長は、ホレ族の民謡を上手に歌えます。また、ホレ族の伝統楽器を作って上手に奏でることができます。そして、彼は、周辺の学校へ行って、これらの楽器の作り方と使いかた、そして、ホレ族の民謡を子供に教えています。」

現在、ホレ族の人々の生活は大きく変化していますが、村は依然としてホレ族の社会単位であり続けています。そして、村人のつながりは相変わらず強固です。


ご感想

他の情報