ヌン族のお正月


少数民族ヌン族のお正月は旧暦で祝います。お正月には、ヌン族ならではの習慣がたくさんありますが、中でも、不幸を好転させるための年末の食事はお正月を楽しむにあたり欠くとのできない習慣です。

ヌン族のお正月 - ảnh 1
年末の食事の準備

ヌン族のお正月は、大晦日の夕食から始まります。この夕食の中心料理はアヒルです。ヌン族は、アヒルは不運を好転させるための一番よい動物だと考えています。ランソン省に住むヌン族の一人ルオン・ヴァン・バックさんは次のように語りました。
(テープ)

「大晦日は、その年の最後の日として新年を迎える大切な日です。大晦日の食事はその1年のよくなかったことを後にして新年に良いことを迎えるためのもので、必ずアヒルの肉があります。不運を好転させるのは家族全員の健康、平穏、成長を祈るためです。」

大晦日の食卓に出るアヒルの調理方法は様々ですが、竹の子と一緒に作る酸みのアヒル・スープが一般的です。アヒルはどのような調理方法であっても、一かケラ残さず、食べ切らなければなりません。ヌン族のことわざの中には、「1月はアヒルを、7月は鶏肉を食べるな」といわれています。そうしないと、不幸になるという意味です。

大晦日がその一年の最後の食事ならば、元日に新年を迎える食事もあります。これらの食事はほとんど手作りで、その家族の手際のよさを示します。ランソン省に住むヌン族の一人ホアン・ヴァン・トさんは次のように話しました。

(テープ)

「ヌン族のお正月の習慣は地方によって違いますが、お正月の食事は「バン・チュン」と呼ばれるチマキ、去勢された雄鶏の肉、おこわ、もち米から作った「バン・ボン」と「バン・カオ」というお菓子を必ず用意しなければなりません。」

お正月の前に、ヌン族の人々は線香をたてる香炉を香りのある葉を入れた水で洗ったり、赤い紙を祭壇に貼ったりするなど、祭壇を綺麗にしておきます。祭壇に置かれるお供え物として、先ほどの「バン・チュン」雄鶏、豚肉、5種類の果物などが用意されます。お正月の時、祭壇は常に線香がついています。お正月の最大タブーは、大晦日と元日の夜は、外で火をたいてはいけません。

大晦日の食事の後、家族全員で、家族の団らんを楽しみながら、年越しの瞬間を迎えます。新年になったら、祭壇に線香をあげた後、全てのドアと窓を開けたり、近くの川や池から水を汲んでくるなど新年の雰囲気と幸運を求めます。また、家族の暖かい雰囲気の中で、お互いに新年のお祝いをしあいます。

新年に不幸が訪れないように、元日は、掃除や洗濯をしない、そして、臼と杵を使わないというタブーがあります。また、元日にほかの家を訪れない方がいいと考えられています。元日の午後になると、親族親戚や近所の家へ年始の挨拶に行き始めます。もし、新年の最初に訪れてくるのが、幸せな家族を持つよくできた上男性であれば、その年に幸運に会いやすくなると考えられます。

また、お正月を楽しむヌン族のもう一つの独特な習慣は、子孫が多い健全なお年寄りが村の各家族へ新年のお祝いをすると共に、家畜や家禽のこやに赤い四角の紙を張る習慣があります。そうすれば、ヌン族は、家畜と家禽が繁殖し、幸運がたくさん訪れると信じているのです。

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