ヌン族の伝統的布「ヴァイ・チャム」とは


ベトナムの少数民族ヌン族はたいてい藍染めの綿織物を着用します。従ってヌン族が着る衣服の色は、その多くが藍色です。それでも、ヌン族の衣服は独特の美しさで知られています。その美しさは、「ヴァイ・チャム」と呼ばれる布地によるものだとよく言われています。

実は、「ヴァイ・チャム」のヴァイは布、チャムは藍色の藍で、藍染の布です。その布を作るのは女たちの手仕事です。1年がかりで糸を織り上げた布を、お母さんは大切そうに手を当て、そっと藍をくぐらせていきます。その仕草のたおやかさは誰のものでもない、我が夫の、我が子の身を守る布への思いがにじむのです。

ヌン族の伝統的布「ヴァイ・チャム」とは - ảnh 1
ヌンゾクのヴァイ・チャム


ヌン族の母親たちは当たり前のように藍の木を育て、染め、縫い、服に仕上げます。家族の衣は母の手から生まれ、技は娘へとごく自然に伝えられてゆきます。家族の布や衣服を見ると、その家族の女性のことが大体わかるとよく言われています。北部ランソン省に住んでいるヌン族の一人ノン・ティ・ホアさんは次のように話しています。
(テープ)

「かつて、私たちは、綿を植えて収穫した後、乾燥させて糸を作りました。それから、その糸で布を織りました。全ては女性がやります。しかし、現在、市場には糸がたくさんあるので、市場で買った糸で布を織るようになりました。それでも、「ヴァイ・チャム」を作るにはかなりの工夫が求められますよ。」

織りためた布を染めるのは夏の間の仕事です。初夏7月ごろ、根を残して刈り取った藍の草を女たちは樽にぎっしり押し込み、水と灰汁、それから、蒸留酒及び細かく砕かれた桃の種の芯も少し加えます。40度にも及ぶ日中の高温の中で藍は自然のままで醸され、三日もすれば見事な藍ができるのです。藍と綿布は実に相性がいいのです。10回ほど染めれば、十分な濃さが出ますし、摩擦に弱くけば立ちやすい繊維もしゃっきりとして張りが出て強さも増します。

布を染めるのはいろいろな工夫が必要ですが、衣服を作るのも簡単ではありません。ヌン族の衣服の模様は見るだけで、少なくて地味ですが、模様を刺繍するためには、巧みな技といろいろな工夫が求められます。ヌン族が好む模様は葉っぱと太陽の形です。

そして、ボタンをつけるのも時間がかなりかかります。女性が着ているシャツは普段、9つのボタンが付いています。ボタンは銀製で、蝶々の形をしています。これは幸福への期待が込められていて、女性服の特徴です。少数民族の衣服コレクトを趣味としているダオ・ティ・トゥエン画家は次のように話しています。
(テープ)

「ヌン族の女性の服に美しさを与えるものはその藍色の布「ヴァイ・チャム」でしょう。そして、藍色の布にうまく付けられた可愛い模様もその美しさを与えるものです。「ヴァイ・チャム」とその模様はヌン族の衣服の「魂」を作ると言えるでしょう。少数民族の衣服を見ると、その民族の文化の特徴がわかります。」

現在、その「ヴァイ・チャム」は少数民族居住地を訪れる観光客にとって最も買いたいお土産の一点です。観光が発展するにつれて結果的にヌン族の生活と文化が守られるでしょう。


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