ハニー族の雨乞い祭り


少数民族ハニー族は毎年、7つの大きな祭りを行いますが、その中には、雨乞い祭りがあります。雨乞い祭りは、稲穂が実る前のトウモロコシが大きく成長するときの夏の終わりに行われます。この祭りは、水を大切にする信仰の表れであるといわれています。

ハニー族の雨乞い祭り - ảnh 1


ハニー族は農業、特に棚田での稲作が中心にしていますので、水の神様を祀るのを最も重要な信仰としています。ハニー族の最も大きな祭りで神に豊作を祈願する「ク・ザ・ザ」が4日間で行われ、土の神様や水の神様、森の神様などいろいろな神を祀るのに対し、雨乞い祭りは1日だけ、水の神様しか祀りません。

この祭りの意義について、ハノイ市内のベトナム民族学博物館の伝統文化研究者ルオン・ヴァン・ティエトさんは次のように話しました。
(テープ) 

「習慣によりますと、雨乞いは、夏の一番暑い6月に行われます。農業の仕事から見ると、それは、収穫を迎える前の棚田が水を最も必要としている時です。この祭りは、人間と自然との調和を示すものであり、農業生産にいい天気への希望の表れでもあります。」

ハニー族の雨乞い祭り - ảnh 2


雨乞い祭りは年に1回行われるのが一般的ですが、神様に水を十分に与えて緑をいっぱいにしてもらうために、2、3回行われる年もあります。祭りの供物としてよく使われるのが黒豚です。大きな村の場合や雨が少ない年の場合、祭りの供物は普段より大きくなり、黒い水牛になります。

祭りの日に、早朝から村全体は、供物の用意や儀式用具の準備などで賑わい、祭りの雰囲気に包まれます。供物は豚肉のほか、ご飯、お酒、生姜、お茶、さとうきび、バナナなどです。準備作業が終わると、村人は全員、稲作が一番上手な人の田んぼへ供物を持って行きます。供物を神様に献上する儀式は日の出から正午まで行われます。太陽が出ている限り、神様は人間の祈願を聞いてもらうと考えられるのです。儀式が終わってから村人は誰でも供物を少し食べて幸運を求めます。

ハニー族の雨乞い祭り - ảnh 3


現在でも、依然として、ハニー族のほとんどの村では、雨乞い祭りが依然として行われています。変わった部分もあります。ベトナム民族学博物館のルオン・ヴァン・ティエトさんは次のように話しました。
(テープ)

「現在の雨乞いの儀式はかつてほど複雑ではありません。また、儀式への参加者に対する規制も緩和され、多くのタブーも無くなりました。そして、供物も変わりました。伝統的な供物のほか、お菓子や果物も使われます。さらに、かつてはお酒は村人が作って竹筒の中に入れなければならなかったのに対し、現在は市場で買ったボトル入りのお酒がよく使われています。輸入されたお酒でも大丈夫です。しかし、儀式は昔ながらの神聖さの中に行われ、神に対する人間の尊敬を示し続けています。」

祭りの日の午後から夜まで、伝統工芸や伝統遊戯が披露されるほか、村の集いが行われます。村の集いは、お酒を飲みながら、話し合うなどコミュニティーのつながりを強化するチャンスとなっています。


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