刺繍の村クアット・ドン物語

刺繍の村クアット・ドン物語 - ảnh 1

「きれいな女よ、私と一緒にクアット・ドン村に行きましょう。伝統職業のクアット・ドン村だよ。鶏、アヒル、木々や花々の刺繍があるよ」。昔から伝わるこのような詩はお客さんを手刺繍の村クアット・ドンに導くようです。この村は首都ハノイから南へ約25キロ離れたトオンティン県にあり、ベトナムの伝統的な職業である刺繍の発祥地であると言われています。

刺繍の村クアット・ドン物語 - ảnh 2

数世紀にわたって、クアット・ドン村は北部農村部の昔のままの古さを持っています。村の入口の門にあるガジュマルの木の傍に、村の神様を祀る神社があり、その近くに、ベトナムの刺繍を始めた元祖レ・コン・ハインを祀る神社があります。この神社に置かれた石碑によりますと、14世紀に、レ・コン・ハイン博士は、本名ブイ・コン・ハイン、クアット・ドン村の出身者であり、刺繍の職業を身に付けた後、村に戻って村人に刺繍を教えていたということです。17世紀から、刺繍は全国各地に広がるようになりました。クアット・ドン村の高齢者の一人であるフン・バン・フンさんは次のように明らかにしました。

(テープ)

「クアット・ドン村の伝統職業刺繍の祖を祀る神社は今から200年あまり前に建立されました。今なお、神社の中には、多くの貴重な古物があります。毎年、レ・コン・ハイン祖の命日に当たる旧暦6月12日、刺繍に従事する各地の代表団は刺繍の祖師を偲ぶため、この神社に線香をあげに来るんですよ」

刺繍の村クアット・ドン物語 - ảnh 3

クアットドン村に住む高齢者らの記憶の中では、以前、刺繍業が盛んに発展している間に、刺繍の製品が全国各地に出荷されたことがあったそうです。現在にもクアットドン村の村人は伝統的職業に携わっています。高齢者の刺繍職人であるブイ・ティ・ハインさんは次のように語っています。

(テープ)

「私は8歳ごろから刺繍を習い始めました。現在も、子どもたちは7~8歳になると刺繍を始めます。そこで、村の伝統的職業は今日まで維持されるのです。」

1990年代初めに、クアットドン村には多くの刺繍工房があったそうです。大規模な工房は200~500人の職人を雇っていたそうです。しかし、市場経済が進むにつれて、全国的には刺繍の従事者は減ってしまっていますが、クアットドン村の村人は、伝統的職業の維持を堅持してきました。現在、多くの家庭で2~3人が刺繍職人います。

刺繍の村クアット・ドン物語 - ảnh 4
ホンさん

刺繍職人グェン・ティ・ホンさんの家は30平方メートル程度の広さしかないですが、壁に各種のデザインの刺繍絵がついてあります。ホンさんの話です。

(テープ)

「かつて、私たちは、東欧市場に輸出するため、おもにベッドカバー、布団、シューズなどを刺繍していました。その後、刺繍製品の輸出が停止になると、絵の刺繍へ、そして現在では、アオザイなどの衣装の刺繍へシフトしています。今日の刺繍技術は以前より難しくなっていますよ。現在、村には、多くの刺繍職人がいますが、手先の器用さが重要です。どんな職人にも出来ない繊細かつ高度な刺繍製品もあったよ。」

これまでに、クアットドン村には、全国的に知られる名人職人がいました。例えば、ベトナムのグエン王朝最後の皇帝バオ・ダイ帝とナム・フォン皇后の衣服を刺繍したブイ・レ・キン職人でした。また、「人民職人」という称号を持つ職人タイ・バン・ボンさんは、各国元首の肖像絵を刺繍したことで有名になっています。中でも、タイの王様の肖像の刺繍絵は、各国の芸術愛好者から高く評価されています。

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今日、国内にある多くの刺繍工房が近代的な刺繍の機械を導入しましたが、機械刺繍の製品は、繊細で丁寧な手刺繍ほどに比べられることはできません。こうした理由で、クアットドン村の伝統的な手刺繍業は今後とも発展してゆくことでしょう。

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