CPTPP、発展のチャンスと試練

(VOVWORLD) - 2日、グエン・フ・チョン国家主席は国会にCPTPP=包括的かつ先進的な環太平洋経済連携協定の批准を提出しました。これはベトナムが多国間の大規模な自由貿易協定に正式に加盟するための最終の国内手続きとなります。

去る3月9日、チリでCPTPPの署名式が行われ、オーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、日本、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、及びベトナム11カ国が参加しました。CPTPPが加盟諸国の利益と発展程度の配慮を基礎にする全面的かつ基準が高い協定であると評されています。その発効により、参加国間では関税削減・撤廃を含む市場アクセスの改善に加え、電子商取引等の分野での高度なルールが適用され、サービスや知的所有権分野などでの協力が拡大され、労働、環境、公共消費、貧困解消などの非伝統的問題の解決が図られるとしています。CPTPPはベトナム経済だけでなく、多くの分野に前向きな影響を与えると予測されています。

国際社会におけるベトナムの役割と地位を確立

ベトナムはCPTPPの交渉、署名、批准を目指し、積極的な準備を行なってきました。

交渉で収めた成果はベトナムの根本的な利益を確保し、同協定の効果的な遂行に条件を作り出すとしています。国会でチョン国家主席は次のように語りました。

(テープ)

「CPTPPの加盟と早期批准は刷新と国際社会への広範な参入に対するベトナムの公約を示すとともに、東南アジア、ひいてはアジア太平洋地域におけるベトナムの地位向上に貢献します。地域と世界の政治、安全保障状況が複雑に推移している現在、CPTPPへの加盟により、ベトナムは独立、自主、国際関係の多様化、全方位の対外政策を実現し続けると同時に、国防・安全保障能力の向上が図られます。さらに、同協定の発効で、ベトナムと加盟諸国との関係が深化するでしょう。」

同協定に基づき、発効後7年以内に、100%の品目の関税が0%に引き下げられることになります。ベトナムの場合、減税段取りは7年ないし10年以内となり、輸入工業製品の税率はほとんど0%になるということです。ファム・ビン・ミン副首相兼外相はCPTPPはベトナムの投資・経営環境の改善、労働生産性の向上に役立つ」との見解を示しました。

(テープ)

「CPTPPは世界のGDPの約13%を占める巨大な自由貿易圏となり、その中で日本は世界第3位の経済大国です。ですから、ベトナムはCPTPPへの加盟により多くのメリットを得ると思います。2035年までに、ベトナムのGDPと輸出額はそれぞれ1.32%、及び4.04%増加することになる見込みです。また、輸入額は3・8%増加しますが、輸出額を下回ることから、貿易バランスが確保されます。一方で、CPTPP加盟諸国との二国間FTA=自由貿易協定を締結したことで、ベトナムは輸出市場の再構築、経済の独立性・自主性の向上を図るでしょう。」

試練を乗り越える

これまで、ベトナムは他のCPTPP加盟10カ国の中で7カ国とFTAを締結したため、3カ国だけの市場開放から競争圧力を受けることになります。しかし、ベトナムはこの3カ国に輸出超過を行なっていることから、競争圧力は激しくなりません。農業に関して、ベトナムは農業再構築、先進的な科学技術の適用、農産物の質的向上に力を尽くしています。ミン副首相兼外相は次のように語りました。

(テープ)

「広告サービスやロジスティックスなどの分野は競争にさらされます。ただ、これは経営コストの削減に役立ち、国内企業の活動に有利な条件を作り出すでしょう。CPTPPが打ち出した公約を実現するため、ベトナムは貿易、税関、知的所有権、労働などに関するいくつかの法律規定を改正する計画があります。新たな公約はベトナムの党と国家の政策、主張、法律に見合うので、法律整備に関する圧力が強まらないものです。ベトナムはWTO加盟に関する経験を生かし、周到な準備を行なうことで成功を収めるでしょう。」

CPTPPはベトナムの企業をはじめ、ベトナムに進出した加盟諸国の企業に生産経営を拡大するチャンスをもたらす傍ら、ベトナムの体制改革、投資経営環境の改善、競争力の向上、国際社会における地位向上に貢献するとしています。

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