アメリカのイランへの制裁再開を巡る問題

(VOVWORLD) -8月7日、アメリカのドナルド・トランプ政権は、イラン核合意からの離脱に伴う対イラン経済制裁の第1弾を再開しました。これはアメリカのイラン政策における重要な柱と見られていますが、アナリストらは、これはイランの政策変化に繋がる可能性が低いと予測しています。

経済制裁は7日午前0時01分(日本時間午後1時31分)に再開し、第1弾の制裁には自動車部品や、カーペットの取引禁止などの措置が含まれています。また、米ドル紙幣や、貴金属、石炭、工業に関わるソフトウエアの取引もその対象となっています。続いて、今年11月から、原油や、銀行分野などを中心に、第2弾が展開される予定だということです。

アメリカの強固な姿勢

アメリカの制裁は、イランがインフレや、政治不安、貧富の差の拡大など経済社会面で多くの問題を抱えている中で展開されています。IMF=国際通貨基金は、「今年、イランの経済成長率は4%に達する見込みであるが、アメリカの制裁措置により、2%以下に低下する可能性がある」と指摘しています。

トランプ政権は、ことし5月、イラン核合意から一方的に離脱し、これを受けて、6日、トランプ大統領は、イランに対して解除していた経済制裁を再開するための大統領令に署名しました。これは、イランに対し、経済面で最大限の圧力を加えるためのものとされています。しかし、これらの制裁措置が効果をあげるかどうかについて疑問視する声も出ています。

イランの対抗姿勢

実際、アナリストの予測どおり、アメリカの制裁にもかかわらず、イランは不屈な姿勢を示しています。アメリカの制裁措置に対し、イランのロウハニ大統領は、6日、国営テレビに出演し、制裁には多くの国が反対しておりアメリカは国際社会を敵に回すことになると強調し、アメリカをけん制しました。

また、アメリカの圧力への対抗手段として、イランは原油の主要な輸送路であるペルシャ湾のホルムズ海峡の封鎖を警告し、先週、精鋭部隊の革命防衛隊が周辺海域で軍事演習も行っています。アメリカの制裁発動で両国の緊張が高まり、中東がさらに不安定化すれば、原油価格など世界経済への影響も懸念されます。

こうした中、EU=欧州連合も、「アメリカの対イラン経済制裁措置からEU企業を守るための新しい方法をとる用意がある」と発表しました。EUの反応は、アメリカがイランに対する制裁戦争において、EUを含め全世界の支持を得ていないことを示すものとされています。従って、その制裁は期待通りの結果を収めにくいと指摘されています。

イラン側は、「アメリカはいかなる交渉においても、自国の信頼度を証明できなくなっている」と批判していますが、これは、アメリカがイランからの信頼を失ったことの証と見られています。

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