イスラム国、世界安全保障に対する新たな脅威


イスラム教スンニ派過激派組織IS=イスラム国はイラクで横行しており、シリアにも活動を拡大させる兆もあります。ISは19日、アメリカ人のフリージャーナリスト1人を処刑し、もう1人を拘束しているとする映像をインターネット上で公開しました。こうした中、国際社会は深い懸念を示しており、ISに対抗する活動を始めました。しかし、ISとの戦いは容易ではないと指摘されています。


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ISの戦闘員(写真:AFP)

国連人権理事会が任命したシリア内戦に関する国際調査委員会は27日、最新の報告書を公表し、ISが一般市民を対象に 殺害などを繰り返していると指摘し、政府軍、イスラム国の双方が「戦争犯罪」や、「人道に対する罪」を行っていると強く非難しました。


国際社会の反応

アメリカのヘーゲル国防長官は21日の記者会見で、「ISは長期的な脅威だ」と述べ、イラクでの空爆を継続する考えを表明しました。処刑された ジャーナリストを含むISのアメリカ人人質の救出作戦に失敗したことには「残念だ」としたうえで、「誘拐実行者を裁きにかける努力を弱めることはな い」と強調しました。

中東地域を管轄するアメリカ中央軍は同日、イラク北部モスルのダム近くで新たに6回の空爆を実施したと発表しました。中央軍によりますと、8日からの空爆回数は合計90回となりました。特に、オバマ政権は、IS掃討に向け、各国との協力体制を強化する方針です。多国籍軍の編成も視野に協力を呼びかけています。

しかし、アメリカのの同盟国のなかで、フランスは協力に慎重姿勢を示しています。フランスのある外交官は、「今回、アメリカが何か決定した場合、われわれは何らかの協力をする前に非常に強固な保証を必要とするだろう」と語りました。


難題

こうした中、ISは活動範囲を引き続き広げています。ISは24日、シリア北部ラッカ県最後の政府軍拠点だったタブカ軍事空港を掌握しました。一方、イラクの首都バグダッド近郊では25日、同国北部クルド人自治政府の治安部隊ペシュメルガがISの戦闘員らを撃退するなど攻防が続いています。

アメリカのヘーゲル国防長官はISについて、「これまでに見たどの組織よりも洗練され、資金も豊富で、単なるテロ組織を超えている」と指摘し、その実力を認めました。イラクでの軍事作戦は同組織の勢いを失速させたとする一方、立て直しを図って新たな攻撃を仕掛けてくることが予想されるとも警告し、「イラクでのアメリカ軍の関与は終わっていない」と語りました。

「イスラム国」が勢力を増しているシリア領内への空爆の可能性には「あらゆる選択肢を検討している」と語るにとどめました。

こうした中、アナリストらは「ISが活動を拡大させ、安全保障に対する新たな脅威となっているものの、現在の状況から見れば、IS掃討は簡単ではないといえる」との悲観的な見方を示しています。

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