ギリシャ債務危機を巡る問題


ギリシャに対するEU=ヨーロッパ連合などの金融支援は、30日で終了する一方、IMF=国際通貨基金への債務の返済も期限を迎えます。これを前に、ギリシャのチプラス首相は29日、このままではIMFに返済できないという見方を示しました。ユーロ圏のGDP=国内総生産の2%しか占めていませんが、ギリシャの債務危機は地域全体にマイナス影響を与えると懸念されています。


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ギリシャの抱える多額の債務のうち、IMF=国際通貨基金からのおよそ2000億円の返済期限は30日となっていますが、ギリシャはユーロ圏各国との協議が行き詰まり、金融支援を受けられない状況です。


マイナス影響

ギリシャ国内では預金流出が深刻化しており、同大統領府は28日夜、預金引き出しなどを制限する資本移動規制を発令し、政府が29日に開始しました。世界の金融市場にも混乱が広がっています。東京株式市場はギリシャの債務不履行への懸念が広がり、日経平均株価は終値で今年最大の下げ幅となりました。株安はアジアや欧州にも連鎖し、通貨ユーロは急落しました。

中国も影響を受けています。中国の専門家は、「ギリシャの債務危機がさらに深刻化し、ギリシャがユーロ圏から脱退した場合、為替レートで人民元高が発生し、輸出が減少する。一方で、 ギリシャがユーロ圏から脱退した場合、資産価値が大幅に下がることが予想されるため、中国や日本といった資金が豊富な経済大国は進出するチャンスでもあ る」と指摘しています。


国民投票を巡る問題

こうした中、ギリシャ議会は28日未明、EUなどが金融支援の条件として示した構造改革案の是非を問う国民投票の実施を賛成多数で承認しました。これについて、EU側は、否決はユーロ圏からの脱退につながりかねない「自殺行為だ」と警告しました。

EU委員会のユンケル委員長が29日、緊急の記者会見を開き、EUとギリシャの交渉の最中にチプラス政権が一方的に国民投票の実施を決めたことについて、「裏 切られた思い」と苦言を呈しました。その上で、ギリシャ国民に対し、否決はユーロ圏からの脱退につながりかねないと警告しました。


ユーロ圏離脱

こうした中、アナリストらは、ギリシャがユーロ圏から離脱する恐れがあると指摘しています。そして、ユーロから離脱すれば、ギリシャはほぼ間違いなく厳しい不況に逆戻りすると見ています。しかし、ユーロ圏から離 脱すれば、ギリシャにとってメリットもあります。

新しい通貨を切り下げてより魅力的な貿易条件を作り出し、製造業やサービス業、観光セクターなどに波及するという自由が得られるということです。

さらに、ギリシャ問題の解決がユーロの更なるほころびを招く可能性もありますが、専門家は現段階ではそれはそれほどの脅威ではないとしています。


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