ベトナム労働組合と国際社会への参入事業

 
(VOVWORLD) - ベトナムの各レベルの労働組合は設立以来、常に労働者の正当な権利の保護に力を入れ、多大な成果を収めてきました。しかし、国の国際社会への参入が進められている現在、労働組合は多くの試練に直面しており、その活動の形式と内容を刷新せざるを得ない状態です。

これまで、国際社会への参入を進め、ベトナムは16件のFTA=自由貿易協定の交渉・締結をしてきましたが、これはベトナムの労働組合の近代化にチャンスをもたらすと評されています。

ベトナム労働組合と国際社会への参入事業 - ảnh 1       労働総連盟のポスター(写真:NISCI)

試練

ベトナムはASEAN=東南アジア諸国連合とWTO=世界貿易機関加盟に際し出した公約を履行していますが、これらの公約の中には労働組合の活動に関するものがたくさんあります。

また、ベトナムが交渉・締結してきたFTAの中にも労働組合に関する条項があります。ベトナムの労働組合がこれらの公約と条項を履行するためにどのような措置をとるかが焦点となっています。

特に、今年3月8日、ベトナムは他の10カ国とともに、CPTPP=包括的かつ先進的環太平洋連携協定に調印しましたが、これもベトナムの労働組合に多くの試練をもたらしています。これに関し、ベトナム労働総連盟労働関係局のゴ・ズイ・ヒェウ局長は次のように語りました。

(テープ)

「CPTPPは基準の高い自由貿易協定であり、その中で、労働問題は大きな課題として浮上しています。これによりますと、労働組合以外の労働者の代表組織の設立も許可されます。これは労働組合にとって、大きな試練となります。労働組合でない労働者の代表組織が設立されれば、労働組合は労働者の唯一の代表組織という地位を失うからです。その時、労働組合に対する競争は激化します。したがって、労働組合の財源も縮小され、活動環境も変化します。この問題を解決するのは簡単ではないと思います。」

刷新

こうした中、ベトナムの各レベルの労働組合は、労働者の信頼に足る代表者としての役割を維持するために、全面的に刷新しなければなりません。その最優先課題は労働関係に関する問題解決とされています。

したがって、組合員の要求把握や、労働関係に発生する紛争の徹底的解決などが差し迫った問題となります。これに関し、中央理論評議会副議長を務めるフン・ヒュ・フ博士は次のような見解を述べています。

(テープ)

「労働組合は強い競争に直面します。他の組織と競争するために、労働組合は認識から活動の形式と内容まですべての面で、刷新しなければなりません。労働者の権利を保護するために、パワーを集める必要があります。つまり、労働組合は、労働者の権利を保護する組織としてだけでなく、労働者を育成する学校や、労働者の役割を発揮させる機関となる必要があります。」

一方、労働組合は、労働者の賃金に関する政策制定にも参加していますが、国家賃金評議会の一員としての役割を発揮することも焦点となっています。また、締結されてきたFTAの規定に従う労働に関連する法律の改正も重要な任務と見られています。

ベトナム労働総連盟対外局のホアン・ティ・タイン局長は、「FTAがもたらす試練はベトナムの労働組合の刷新事業の原動力となる」との見方を示し、次のように語りました。

(テープ)

「労働組合の新規設立に関し、新しい方式を導入する必要があります。その新しい方式は、労働者に対し、自分たちで組合を設立し、執行委員会を選出するよう働きかけるということです。また、執行委員会と組合員との対話を定期的に行う必要があります。」

現在、ベトナム労働総連盟は、労働組合の活動と組織の刷新案や、条例改正案の作成などを進めています。また、党と政府に対し、労働組合に関する新しい決議を制定・発布することを提案しています。

これらの措置により、今後も、ベトナムの各レベルの労働組合は、労働者の正当な権利を保護する信頼に足る組織としての役割を維持できると期待されています。

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