独立問うスコットランド住民投票を巡る問題


イギリス北部スコットランドの独立の是非を問う住民投票が18日午前7時(日本時間午後3時)から全域で一斉に始まりました。投票は午後10時に締め切られ、即日開票されます。公式結果の発表は19日午前7時ごろになる予定です。まだ早いですが、スコットランドが独立国家になることはスコットランド人にとって良いかどうかがまだ分からないという疑問も出ています。


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(写真:ロイター)

スコットランドは面積が7万9000平方キロで、人口が約530万人ですが、このうち、16歳以上の市民が投票することができます。投票では「スコットランドは独立国になるべきか」との質問に、「イエス」か「ノー」かで、答えることになっています。


歴史や経済などの問題

17世紀まで、イギリスとスコットランドは政治的独立を維持していましたが、1707年の連合法によって、それまで同じ君主を冠してきたものの、別々の王国であったイングランド王国とスコットランド王国は合邦し、グレートブリテン王国が成立しました。

しかし、全スコットランド人が合邦に賛成するとはいえません。1980年代以降、経済や、社会政策の多くの面で、スコットランドとUKが違った道を選択し始めており、21世紀に入りその差は大きくなりつつあります。これらの要素は今回の住民投票に繋がっているとされています。

投票直前の各種世論調査の総合結果によりますと、独立賛成が49%、反対が51%と依然としてほとんど差がない大接戦で、結果がどちらに転んでも不思議はない情勢です。


独立賛否の差

事前の運動では、独立賛成派は「イギリス政府に指図されない国を作るために独立しよう」などと呼びかけて、草の根で運動を進めてきました。

これに対し反対派は「イギリスにとどまった方がスコットランドの利益につながる」と訴えてきたほか、キャメロン首相が直前にも現地入りするなど、イギリス政府やビジネス界が中心になって反対に投じるよう呼びかけてきました。

特に、イギリスのエリザベス女王は「スコットランドの人々が将来について、注意深く考え ることを望む」と述べ、危機感を示しています。


その影響

実際、この危機感は根拠のあるものと評されています。というのは、スコットランドの人口はUK全体の8.3%ですが、税収の9.9%を占めており、国民一人当たりのGDPでも2万6000ポンドを超え、UK内ではロンドン、イングランド南東部に次ぐ裕福な地域という事実が立証されたからです。

そして、スコットランドの独立は、スコットランドの利益だけでなく、欧州の一体化プロセスにも影響を与えるとも予想されています。

イギリスは国際社会を率いる大国の1つとして、政治面、経済面で大きな影響力を持つだけに、国が分裂する事態になるのかどうか、スコットランドの有権者の判断に世界中の関心が集まっています。

 

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