英国の総選挙の前倒しをめぐる問題



イギリスのメイ首相は18日、声明を発表し、下院を解散して2020年に予定されていた総選挙を今年6月8日に前倒しして実施する意向を表明しました。EU=欧州連合との離脱交渉が始まるタイミングでの下院解散、総選挙を打ち出したメイ首相の決断は賢明な措置で、総選挙での勝利に対する自信を示すものと評されています。


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(写真:Getty)

メイ首相は、「総選挙の実施により、EU離脱の計画を阻止しようとする野党の試みを終わらせることができる」と主張し、「今、総選挙を行わなければ、野党による政治のゲームが続くだけだ」と訴えました。


タイミングの良い決定

実際、メイは選挙を通じて国民の信任を得る必要があります。昨年6月、EU離脱を選択した国民投票の結果を受けて、デービッド・キャメロン前首相が辞任を表明し、7月に行われた保守党の党首選で他候補が次々に脱落したため、メイが党首となり、首相の座に就きました。

そのため、メイ氏は国民ばかりか党の信任も受けていない形です。今なら、選挙をすれば、保守党の勝利はほぼ確実です。イギリスの世論調査機関ユーガブ、コムレスの調査ではいずれも17日時点で保守党が労働党に支持率で20ポイント超も水を開けています。

キャメロン政権の末期には、保守党の支持率は30%半ばまで落ち込みましたが、メイ政権下で持ち直して今は40%弱です。また、この総選挙は、SNP=スコットランド民族党がスコットランドの独立を求めるための圧力を加えている中で行われ、SNPのけん制も図られると見られています。


英議会と欧州などの歓迎

イギリス下院は19日、前倒し総選挙を求めるメイ首相提出の動議を賛成522、反対13で可決しました。与党保守党に加えて、最大野党の労働党も賛成しました。一方、これに関し、EUは、EU離脱(ブレグジット)を推し進めるメイ首相の国内基盤強化につながるとして歓迎する姿勢を表明しました。

また、EUの交渉担当者の1人は報道界に対し、「総選挙の結果次第ではイギリスのEU離脱交渉がしやすくなる可能性さえある」と語りました。ドイツのジグマー・ガブリエル外相も同様の考えを示し、「離脱が決まった昨年6月のイギリス国民投票以来、予測可能性と信頼性がこれまで以上に重要になっている」と述べました。

同外相は文書で、「不透明性が長引くことは、欧州とイギリスの間の政治・経済関係にとって当然良い事ではない」と指摘し、「メイ首相が発表した総選挙によって欧州連合との交渉がより明確さと予測可能性が増すことを期待する」と強調しています。

こうした中、世論は、「この決定は戦略的なものであり、総選挙で勝利を収めてからメイ首相は自分のやり方でEU離脱を着実に主導していくことができるようになる」と分析しています。


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