トランプ米大統領の「エルサレム首都承認」をめぐる問題

(VOVWORLD) - アメリカのトランプ大統領は6日午後(日本時間7日未明)、ホワイトハウスで演説し、エルサレムをイスラエルの首都として「公式に承認する時だと決断した」と述べ、宣言文書に署名しましたが、アナリストらは、「これは冒険的な措置だ」と指摘しています。

この数十年間、エルサレム問題は、パレスチナ・イスラエル間の衝突における最も複雑な問題と見られていますが、アメリカのこの決定は和平プロセスの崩壊に繋がる恐れがあるとしています。

トランプ米大統領の「エルサレム首都承認」をめぐる問題 - ảnh 1       エルサレムの全景(写真:AFP/ TTXVN)

トランプ大統領のこの発言は各国から強い反応を引き起こしています。多くの国は、「これは中東地域情勢を悪化させる危険な行為である」と批判しています。

国際社会の政治・安全保障に影響を与えるエルサレム問題

トランプ大統領のこの決定が世論にショックを与えることは分かりやすいといえます。この60年間、パレスチナ国家を樹立してイスラエルとの共存を図り、中東和平を実現しようとするという「二国家共存」構想はイスラエル・パレスチナ間の衝突解決に関する最初のイニシアティブと見られています。

1947年11月29日、 国連総会は国連パレスチナ特別問題委員会が提出した「パレスチナを分割してアラブ人国家とユダヤ人国家を創設し、エルサレムを国際管理下に置く」という内容のパレスチナ分割決議案を承認する決議第181号を採択しました。数ヵ月後、ユダヤ人国家の樹立も許可されました。

しかし、これまでもパレスチナ人は自らの国家樹立のために戦わなければなりません。1967年の中東戦争で、イスラエルは東エルサレムを含めパレスチナの全土の87%を占めました。こうした中、パレスチナ側は東エルサレムはパレスチナの独立国家の首都でなければならないと主張してきました。

この数十年間、パレスチナの領土問題と中東和平プロセスは国際社会の特別な注目と大きな力を集めてきました。中央和平プロセスが行き詰まりに陥ったこともあります。幸いながら、この数年間、アメリカの仲介役を含め国際社会の努力により、中東和平プロセスは前向きな前進を示しています。

トランプ米大統領の「エルサレム首都承認」をめぐる問題 - ảnh 2 エルサレムに配置されるイスラエルの警察部隊(写真:EPA/TTXVN)

関係各側は2国家共存に関する合意を達成しました。したがって、パレスチナ独立国家を承認する国々の数は増えています。特に、11月30日、国連総会で、加盟151カ国はイスラエルがエルサレムを占領することに反対する決議を採択しました。

衝突再燃の危険性

国際社会がエルサレムに対するイスラエルの領有権を承認していない中、アメリカがエルサレムをイスラエルの首都として認定し、エルサレムにイスラエル駐在アメリカ大使館を移すことは中東地域での衝突を再燃させる行為として批判されています。

エルサレムは、ユダヤ人だけではなく、カトリックとイスラム教徒にとっても聖地であり、歴史と政治だけではなく、民族と宗教に関しても複雑な問題を抱えています。こうした中、国際社会の努力に逆行するアメリカの行動は和平交渉を脱線させる可能性があります。

特に、トランプ大統領の決定は、地域内の人々の恨みと憎しみを募らせようとするテロリストにチャンスを与え、中東地域の局面をさらに複雑化する可能性もあると指摘されています。

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