処理水巡る専門家協議、来年早期に開催で調整 日中両政府

(VOVWORLD) - 日中両政府は東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出に関する専門家協議を2024年の早期に開始する調整に入りました。日中関係筋が26日、明らかにしました。海洋放出の安全性に関する立場の隔たりを埋め、中国による日本産水産物の輸入再開など問題解決につなげられるかが焦点となります。
処理水巡る専門家協議、来年早期に開催で調整 日中両政府 - ảnh 1福島第1原子力発電所=AFP/TTXVN

11月16日の日中首脳会談で、岸田文雄首相と習近平国家主席は、海洋放出を巡り、互いの立場に隔たりがあると認識しつつ、建設的な態度で協議と対話を通じて問題を解決する方法を見いだすことで一致しました。専門家協議はこれを受けて調整されており、日本側は「科学に立脚した議論を行っていく」(岸田首相)としています。

政府関係者によりますと、専門家協議には日本側から原子力規制庁などの担当部局の職員の参加が想定されています。中国側からも政府の担当官庁の職員が参加する方向です。双方のメンバーによる相互訪問やオンライン会議などで協議を重ねることが検討されています。

処理水問題を巡っては、日中の立場の隔たりが大きいです。日本側は海洋放出計画について「国際的な安全基準に合致する」とした国際原子力機関(IAEA)の包括報告書に基づき、安全性をアピールします。これに対し中国側は処理水を「核汚染水」と呼び、日本産水産物の全面輸入停止措置を続けています。

海水や水産物に含まれる放射性物質のモニタリング(監視)は既にIAEAと中国、韓国、カナダの分析機関による枠組みがあります。しかし、中国政府は「不十分だ」などと否定的な見解を示し「中国が独自にモニタリングできる機会をつくってほしい」(王毅共産党政治局員兼外相)と求めています。

中国側の要求に対し、日本側は「国家の主権やIAEAの権威、独立性といった原則が前提となる」(上川陽子外相)と慎重な姿勢を示しており、日中の専門家協議ではモニタリングのあり方も議題になるとみられます。

日中は11月の首脳会談で「戦略的互恵関係」の包括的推進を再確認し「日中ハイレベル経済対話」や「日中ハイレベル人的・文化交流対話」の「適切な時期」の開催で一致しました。その後の外相会談では「日中安保対話」の早期開催で一致し、外相の相互訪問を互いに要請しました。日本政府は日中関係の改善に向け、海洋放出に関する専門家協議の早期開催にこぎ着けたい考えです。(毎日新聞)

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