英「EU離脱延期」「ならば解散総選挙」で深まる混迷

(VOVWORLD) -EU=ヨーロッパ連合からの離脱をめぐって、イギリス議会で4日から離脱の延期を求める法案が審議されることが決まりました。

期日どおりの離脱を目指すジョンソン首相は、議会が延期を可決するなら総選挙を実施する考えを示し、離脱期限まで2か月を切る中、イギリスの混迷は一段と深まっています。

イギリス議会では日本時間の4日朝、超党派の議員が提出した離脱期限の延期を求める法案を審議するかどうかを決める採決が行われ、賛成328票、反対301票の賛成多数で可決されました。

採決では与党 保守党からおよそ20人がジョンソン首相の求めに反して賛成に回り、4日から審議される法案についても支持するものとみられています。

期限にあたる来月末に必ず離脱すると主張するジョンソン首相は「無意味な延期に賛成するなら、解決策は選挙しかない」と述べ、議会が法案を可決した場合、総選挙を実施する考えを表明しました。

総選挙を行うには、議会下院の3分の2以上の賛成が必要となりますが、イギリスメディアは来月中旬の実施が想定されていると報じ、離脱期限直前の総選挙が現実味を持って伝えられています。

イギリスでは市民生活や経済活動に大きな打撃となる「合意なき離脱」への懸念が根強く、混迷が一段と深まる中、離脱の行方に対する不安はさらに高まりそうです。

政治は混乱 市民はあきれ顔

次の焦点は離脱期限の延期を求める法案がイギリス議会で可決されるかどうかです。

3日の演説でジョンソン首相は、議会が離脱を延期する道を選ぶなら総選挙しか道はないと表明し、議会側をけん制しました。

ジョンソン首相としては、このままでは「10月末には離脱する」という最大の公約を破ることになるだけに、大きな賭けに出ざるを得なかったとみられます。

ただ今回、与党からおよそ20人もの離反者を出したのはジョンソン首相にとって大きな打撃です。

4日の可決によって、法案を提出する野党など超党派の議員たちは議案の審議でもジョンソン首相に対して大幅に有利な立場に立つことになり、現時点で議案が可決される公算は大きいと言わざるをえません。

このため離脱期限を目前に控えた総選挙の実施も現実味を帯びてきたと言えます。

では、選挙になったとしてジョンソン首相は勝てるのか。

最新の世論調査では、与党 保守党が最大野党の労働党に10ポイントの差をつけてリードしています。

ジョンソン首相からすれば、みずからの人気や安定した支持率を背景に、選挙で今よりも安定した政権が築ければ離脱をスムーズに進められるという算段もありそうです。

とはいえ、合意なき離脱に対する不安や反発は根強いものがあります。

国連の試算では、EUとの合意がないまま離脱した場合、自動車の輸出などへの影響を含め、イギリスは日本円にして1兆7000億円の損失を被るとしています。

こうした懸念を背景に選挙で野党側が支持を拡大する可能性も否定できません。

一方の市民はというと、政治の混乱にあきれ顔です。

「政治家は議論を続けているばかりだ」「影響を受ける市民や経済のことを考えていない」という不満の声ばかりが聞かれます。

離脱の期限まで2か月を切った段階になって、議会の構成に大きな変化をもたらしかねない総選挙の可能性が浮上したことで、EU離脱の行方は一層見通せなくなっています。

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