ドイツの大連立協議をめぐる問題

ドイツのメルケル首相は連邦議会選挙の結果を受けて、最大野党と大連立に向けた協議を行う方針を明らかにしましたが、ユーロ危機への対応などを巡り立場の違いは鮮明で、協議は難航も予想されます。


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メルケル首相と社会民主党の
ペール・シュタインブリュック党首(写真:VNA)


22日に行われたドイツの連邦議会選挙では、メルケル首相のキリスト教民主・社会同盟が40%を超える得票を得て勝利しましたが、単独過半数には届きませんでした。

また、キリスト教民主・社会同盟の連立相手である自由民主党が1948年の結党以来、初めて連邦議会選挙で議席を失いました。戦後のドイツ政治でキャスチングボートを握り、影響力を発揮してきた伝統の党だけに衝撃が広がっています。

2009年の総選挙では過去最高の得票で11年ぶりの政権復帰を果たしましたが、献金問題で支持率が急落してきました。党内対立のほか最近は同盟との関係もぎくしゃくし、党勢回復を果たせませんでした。

これを受けてメルケル首相は、23日、ベルリンの党本部で記者会見し、最大野党の社会民主党との連立交渉に臨むと明らかにしました。

大連立が成立すれば、ギリシャ向けの追加支援論議が前倒しで始まるかもしれません。メルケル首相は選挙戦の争点にならないように用心してきましたが、社会民主党はドイツの負担額を早期に確定すべきだとの立場です。

ただ、緊縮派のドイツが路線転換を図る可能性は低いです。「責務を果たさなければ支援はしない」と、メルケル首相は選挙戦でこう繰り返しました。

メルケル首相は、ユーロ政策について「変更する必要はない」と述べ、新しい政権でもギリシャなどに対して財政の立て直しのために緊縮策や構造改革を迫る方針を維持する考えを強調しました。

一方、社会民主党はこれまで、メルケル首相のユーロ政策を批判し、より経済成長に重点を置くよう訴えているほか、労働市場の規制緩和や富裕層への増税など国内の政策を巡っても立場の違いは鮮明です。

大連立政権の下で欧州の危機対策が急進展すると金融市場の一部は期待しますが、肝心の連立協議は波乱含みです。保守陣営には所得増税など「高い代償」を支払うことへの懸念が台頭しています。

2005年の大連立では協議が終わるまで約2カ月かかりました。今回も両党の溝が大きい財政政策を巡る調整が難航しそうです。

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