コントゥム省の伝統文化の保存と開発

(VOVWORLD) - ベトナム中部高原地帯テイグエン地方にあるコントゥム省は、27の少数民族が居住している地方で、少数民族の豊かな文化で知られています。近年、この省は、少数民族の伝統文化の保存と開発に力を入れています。

ラオス及びカンボジアの2ヵ国とも国境を接しているコントゥム省の面積は約9700平方キロメートルで、その人口は54万人です。その中で、ソダン族や、バナ族、ジェチェン族、ザライ族などの少数民族が人口の約半分を占めています。これらの民族は銅鑼演奏や叙事詩などの豊かな文化を誇っていますが、この文化は現代生活の中に埋没し、消滅する恐れがあります。

コントゥム省の伝統文化の保存と開発 - ảnh 1 子どもに銅鑼の演奏を教える課外活動

そのため、コントゥム省は、各少数民族の伝統文化の保存と開発を重点的な任務と見なしており、いろいろな伝統文化保存開発プロジェクトを展開しています。その中で、無形文化遺産統計プロジェクトや、2016年から2020年までの銅鑼文化の空間保存・開発プロジェクト、各少数民族の伝統的職業の保存と観光商品化プロジェクト、叙事詩と伝統祭りの復活プロジェクトなどが効果的に展開されています。コントゥム省文化スポーツ観光局のファン・ヴァン・ホアン副局長は次のように語りました。

(テープ)

「この数年、コントゥム省は伝統文化の保存と開発を精力的に進めており、見るべきの成果を収めていると言えます。また、私たちは、国内外の人々にコントゥム省の独特な文化を紹介するために、各少数民族の職人やアーチストを招いて、国内各地や外国で伝統文化のパフォーマンスを頻繁に行っています。」

コントゥム省の伝統文化保存開発事業では、最も成功している例は、銅鑼の演奏や、ソアンという伝統的な踊りを学校の課外活動に入れたことです。2005年にユネスコによって世界の無形文化遺産として認定された銅鑼の演奏はテイグエン地方の最も重要な文化です。コントゥム省を含むテイグエン地方に住む各少数民族にとって銅鑼は神聖なものです。専門家の話では、いつからという時期は特定できないものの、3500年前から4000年前に生まれたという説があります。昔からこの地の人々の生活に根差してきた銅鑼の音は、人の心や思いを表しています。人間の悲しみ、喜び、怒り、期待などを示したり、この地域の歴史を物語ったりします。また、新しい命を迎える儀式や亡くなった人を神の世界へ送る儀式をはじめ、さまざまな冠婚葬祭に銅鑼がよく使われています。人間と神との橋渡し役で、銅鑼を通じてその二者が感情や意思を交わすことができると信じられています。

コントゥム省の伝統文化の保存と開発 - ảnh 2中学校のソアン踊りフェスティバル 

コントゥム省は、子どもが伝統文化をよく理解して愛することは伝統文化の保存で最も効果的なやり方であるとして、銅鑼の演奏者や「ソアン」の踊り手に依頼して省全体の学校で週2回、子どもたちに教えています。これにより、銅鑼の演奏と「ソアン」踊りに興味を持てるようになる子どもが多くなっています。コントゥム市にあるチエウ・ティ・チン小学校の生徒ア・トイ君の話です。

(テープ)

「銅鑼の演奏を学ぶことができてうれしいです。家でも、親と祖父母にも教えてもらっているので、演奏が上手になりたいです。バナ族の伝統文化なので、銅鑼の演奏を守りたいからです。」

伝統文化を教える課外活動は生徒の親たちから応援と協力を受けています。多くの居住地でも、親たちの協力により、銅鑼演奏やソアン踊りのクラブが開かれています。これにより、この取り組みは、社会全体への波及効果を持つと評されています。

チエウ・ティ・チン小学校の校長ホアン・ヴァン・バさんは次のように話しました。

(テープ)

「課外活動で生徒たちに銅鑼の演奏とソアンという踊りを教えることは学校とコミュニティとのつながり強化に役立っていると思います。親たちは学校と協力して、伝統文化に対する子どもの興味を芽生えさせる様々な活動を行っています。」

そして、コントゥム省は小中学校を対象に、年2回、銅鑼演奏とソアン踊りのフェスティバルを定期的に行っています。このフェスティバルは、千人以上もの生徒が銅鑼演奏とソアン踊りを披露し、省内の大規模な文化イベントとなっています。

現在、コントゥム省には、約400の銅鑼演奏チームがあり、各種の銅鑼が数千個あります。こうしたコントゥム省はユネスコの無形文化遺産である銅鑼演奏の保存と開発において有利な環境に恵まれていますが、銅鑼演奏の保存と開発を基盤に、他の伝統文化の保存と開発にもプラスの波及効果をもたらしてゆく方針です。

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