イラクで総選挙 暫定結果は数日後に発表へ 米・イランとの関係に注目

(VOVWORLD) - 2021年10月に行われた前回の総選挙では、投票率がフセイン政権崩壊後で最も低い44%にとどまりました。今回の投票率も、国民の政治への信頼度を示す重要な指標になるとみられています。

イラクでは11日、定数329の国民議会の総選挙が行われます。選挙で勝利した政治勢力は、新たな首相の選出や組閣を主導することになります。イスラム教シーア派が多数を占めるイラクでは、アメリカとシーア派の地域大国であるイランが影響力を競い合っており、今回の選挙を経てイラクの外交方針に変化が生じるか注目されています。

アメリカは6月、イスラエルとともにイランの核施設を空爆し、イランの周辺地域における影響力が弱まったとみられています。ロイター通信によりますと、暫定結果は投票から数日後に発表される見通しで、次期政権の発足に向けた協議には数か月かかる可能性があるということです。

国内では、政治腐敗や高い失業率、電力不足といった問題が長期化しており、こうした課題を解決して国民の政治不信を払拭できるかが焦点となります。

2021年10月に行われた前回の総選挙では、投票率がフセイン政権崩壊後で最も低い44%にとどまりました。今回の投票率も、国民の政治への信頼度を示す重要な指標になるとみられています。2022年に就任したスダニ首相はアメリカとイランの双方と一定の関係を維持しており、再選を目指す姿勢を示しています。

シーア派ではスダニ首相が率いる政党連合のほか、マリキ元首相の政党も依然として影響力を持っています。一方、有力宗教指導者サドル師が率いる政治組織は選挙をボイコットしました。サドル派は前回選で第1党となりましたが、シーア派内部の対立が深刻化し、政権樹立に失敗して議員70人以上が辞職しました。

スンニ派では、国会議長を務めたハルブシ氏が率いる政党連合が国家機構の再建などを訴えて支持を集めています。イラクでは、首相はシーア派、国会議長はスンニ派、大統領は少数民族クルド人から選ばれるのが慣例となっています。

治安は全体として改善傾向にありますが、10月中旬にはバグダッド北方でスンニ派候補が爆弾テロにより殺害される事件も発生しており、選挙の安全確保が課題となっています。(時事通信)

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