(VOVWORLD) -国連の安全保障理事会は、内戦が続くシリアに人道支援を行うルートが期限切れになったことを受けて、ロシアの主張に沿ってルートを減らす決議を採択しました。国連やNGOの活動は継続されるものの、今後、人道支援への深刻な影響が懸念されます。
写真:AFP/TTXVN |
内戦が続くシリアでは、国連安保理の決議に基づいて、トルコから国境を越える2つのルートを使ってシリア北西部に食糧や医薬品などを届ける人道支援が行われていますが、決議が定めるルートの使用期限の10日までに、延長を求める欧米と、1か所の削減を求めるロシア、中国との対立がとけませんでした。
このため、安保理は11日、ロシアの主張に沿ってルートを1か所に減らす一方、ロシアと中国が決議に盛り込むよう求めていたアメリカによるシリアのアサド政権に対する経済制裁の文言を削除した修正案の採決を行い、15か国のうち12か国が賛成し、ロシアと中国は棄権したため、採択されました。
これによって、国連やNGOの活動は1年間延長されることになりましたが、ユニセフは、ルートの削減で50万人の子どもが支援を受けられなくなるとしています。
人道支援ルートをめぐっては、安保理がことし1月に期限の延長を決めた際も、主権の侵害だと反発するアサド政権を支持する立場のロシアが拒否権を行使して、4か所から2か所に削減されました。
今回、さらに1か所の削減を欧米に受け入れさせた形で、今後、人道支援への深刻な影響が懸念されます。(NHK)