コロナ遺児たちのケア

(VOVWORLD) - 新型コロナの第4波における震源地となったホーチミン市では、今回の第4波で両親や片親あるいは身内が死亡し、1500人以上の子どもたちが孤児になりました。これらの子どもたちの物心両面で世話をすることが差し迫った課題となっています。
コロナ遺児たちのケア - ảnh 1南部ビンズオン省の病院で新型コロナ治療を受けている子どもたち

ホーチミン市労働傷病軍人社会事業局によりますと、現行の法律では、両親が死亡して遺児となった4歳以下の子どもには月額90万ベトナムドン(約4,500円)、それ以上の年齢の子どもには月額54万ドン(約2,700円)が支給されます。16歳までは健康保険が適用され、授業料などの学費が免除され、大学や専門学校に進学した場合は22歳になるまで維持されるということです。

しかし、この法律は片親を亡くした子どもには適用されないので、同局はホーチミン市独自の支援策を同市人民委員会に提案しています。これによりますと、現行の法律で定められている補助金以外、両親が死亡し遺児となった4歳以下の子どもには月額100万ドン(約5,000円)、それ以上の年齢の子どもには月額80万ドン(約4,000円)が支給されます。片親を亡くした子どもには18歳まで月額48万ドンから80万ドン(2400円~4000円)が支給されるという計画です。

国の支援の他、社会団体や企業の多くも新型コロナ禍で遺児になった子どもたちを支援しています。ホーチミン市の祖国戦線委員会、女性連合会、共産青年同盟は、これらの子どもたちのための奨学金プログラムを立ち上げました。

ホーチミン市祖国戦線委員会のト・ティ・ビック・チャウ委員長は次のように語りました。

(テープ)

「ホーチミン市は新型コロナで親が死亡し遺児になった子どもたちを始め、困難な状態にある子どもたちの世話をできるようしています。誰一人も取り残さない」という方針で、社会全体の関心を呼び掛けています。」

一方、ベトナム労働組合総連盟は、新型コロナ禍で犠牲となった組合員を親に持つ16歳未満の未成年者を支援すべく、預金証書を寄贈すると発表しました。父親または母親のいずれかを新型コロナで失った場合、1000万ドン(約5万円)の預金証書、両方の親を失った場合は2000万ドン(約10万円)の預金証書を贈るということです。

そして、ベトナムのIT最大手のFPTは、コロナ遺児1,000人余りの育成・教育のため、学校を開設すると発表しました。用地は中部ダナン市の新都市区「FPTシティー」で、寄宿舎も設ける予定です。学校は20年間運営し、FPTは少なくとも毎年800億ドン(約4億円)の費用を拠出し、遺児の希望に応じ、大学レベルやそれ以上の教育を受けられるようにするということです。

しかし、親を亡くした子どもたちにとっては補助金を供与することだけは不十分です。子どもたちが全面的に成長するためには、財政、教育、健康、及び、精神の4つの面で世話をすることが必須です。そのため、遺児たちの世話をする人は重要な役割を果たしています。

コロナ遺児たちのケア - ảnh 2アインちゃんとチャオさん

約2か月前に、ホーチミン市第1区グエンクチン地区に住むホ・ティ・チャオさんの家族は新しいメンバーがいました。それは、9歳のグエン・モック・クエ・アインちゃんです。アインちゃんはチャオさんの家の隣に借りていた家族の娘です。しかし、第4波で両親が死亡して遺児になってしまいました。チャオさんはアインちゃんに幼い頃から優しく愛情のこもった世話をしていました。アインちゃんはこうしたチャオさんを母方のおばさんと見なしています。アインちゃんの親戚は貧しいので、経済的に余裕があるチャオさんはアインちゃんの両親が亡くなったことを受け、アインちゃんの世話をすることにしました。

これはアインちゃんの希望でもあります。チャオさんの話です。

(テープ)

「アインちゃんの将来のために心を込めてできるだけ世話をしています。幼い頃からもずっとこの子の世話をしていたからです。」

両親が亡くなったことはアインちゃんにとって大ショックでしたが、チャオさんを始め、近所やクラスメートの両親など周りの人たちに和らげられたので、徐々にその痛みを超えています。アインちゃんの話です。

(テープ)

 「クラスの父兄会は携帯電話を買ってくれました。これはオンライン授業に参加するためです。将来は「修理工」になりたいです。面白いから。よく勉強すれば、仕事があるよ。将来、おばさんの世話をしたいですから。」

新型コロナのせいで多くの子どもたちは親の愛情や保護者を亡くしたものの、社会全体の支援により、全面的に成長し、将来良い社会人になることを祈ります。

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