ザオ族の女性 伝統的な薬草風呂を商品化 貧困解消を図る

(VOVWORLD) - ザオ族の伝統的な薬草風呂を商品化して村人の貧困解消に貢献した人が47歳のタン・タ・マイさんです。

北部山岳地帯ラオカイ(Lào Cai)省サパ(Sapa)町タフィン(Tả Phìn)村は少数民族ザオ族とモン族の居住地であり、社会経済の指標が特別低い村です。貧困世帯の割合が6割を超えた時もありました。しかし、この数年間、タフィン村ではザオ族の女性が伝統的な薬草風呂を商品化し、現地の社会経済の状況は著しく改善しています。

ザオ族の女性 伝統的な薬草風呂を商品化 貧困解消を図る - ảnh 1薬草を背負っているタン・タ・マイさん

ラオカイ省のサパ町は世界的にも知られている避暑地であり、涼しい気候と美しい自然風景をとともに、少数民族の豊かな文化が観光の重要なリソースだとされています。首都・ハノイから車で半日以上移動して、ようやく高原の町サパの中心にたどり着きますが、タフィン村はサパからさらに車で山奥に入った山岳地帯にあります。

ザオ族の村では月に2、3回程度、薬草風呂に入る家族が多く、高さ3mほどの釜で、薬草を薪で何時間も炊き、成分を抽出します。この成分を何往復もしてバケツで樽型の浴槽に移し、加水して湯加減を整えます。極上の薬草風呂の完成です。薬草の名前や効能は、女性たちが代々山に入り子孫たちに伝えてきた歴史があります。この薬草風呂は、疲労回復や怪我の治療、腰痛などに効果があり、とくに出産間もない女性によいと言われています。

風呂に使われる薬草はたくさんの種類がありますが、血行を良くする薬草のほか、妊娠中の女性に良い薬草もあります。また、赤ザオ族の女性は出産後1週間で、畑仕事をしなければならないため、産後の健康回復を促す薬草もあります。また、白髪対策には7種類の薬草が使われます。薬草風呂に何度も入れば、健康になるはずだとされています。

こうした薬草風呂を商品化して村人の貧困解消に貢献した人が47歳のタン・タ・マイさんです。マイさんの話です。

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「かつては大変でした。夜は赤ちゃんを背負いながら、 サパの観光客にお土産などを売り歩き、昼間はガイドをやっていました。しかし、貧しさからなかなか抜け出せなかったのです。そのため、観光客に迷惑をかけて売り歩くという仕事をせず、自分の強みを活かして生活できるように、どうしたらいいのかよく考えていました。観光客にザオ族の伝統的な薬草風呂を体験してもらうことにしました」 

最初、マイさんは自分の家を改修して家でザオ族の伝統的な薬草風呂サービスを観光客に提供していました。観光客の評判を受け、2015年にほかの7人の女性と連携してザオ族コミュニティ協同組合を設立しました。協同組合のサービスは国内外の観光客の多くに好まれており、ガイドブックに掲載されています。フランスから来た観光客の話です。

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「この村の薬草風呂は、普通の風呂と違ってすごく癒されて体調がよくなりました。薬草風呂は多くの人を引き付けて市場拡大のチャンスがあると思います」

ザオ族の女性 伝統的な薬草風呂を商品化 貧困解消を図る - ảnh 2ザオ族コミュニティ協同組合の製品を紹介しているマイさん

薬草風呂サービスの提供のほか、同協同組合は薬学大学と協力して薬草成分を抽出して入浴剤の商品化に成功したため、家庭でも気軽に入れるようになりました。そのほか、ザオ族の伝統的な薬草を利用して、足湯用の入浴剤やシャンプーなども作られました。国内各地のほか、オーストラリア、カナダ、シンガポールにも出荷され、好評を得ています。

これにより、ザオ族コミュニティ協同組合は益々成長し、2022年の年商は27億ベトナムドン(日本円で1500万円)に上り、薬草栽培面積も100ヘクタールを超えています。また、組合員数は最初の7人から160人へと増えました。これにより、多くの村人は安定した収入を得ています。組合員のタン・マイ・リュさんは次のように語りました。

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「協同組合に参加してからは毎月500万~600万ドンの安定した収入を得ています。これにより、私の家族の生活はかなり改善されました。また、ここの仕事は、多くの観光客と接触でき、いろいろなことを学ぶことができました」

ザオ族コミュニティ協同組合が設立されてから約7年が経ちましたが、協同組合の会長タン・タ・マイさんは、ザオ族の伝統的な薬草を利用して地元の人々の生活を改善するという最初の目的を堅持しています。マイさんは次のように語りました。

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「今後も、いろいろな研究を重ねて、輸出基準を満たす製品を作る方針です。そうすることで、組合員の収入が増加し、貧困から着実に抜け出せるでしょう。また、サパのザオ族の伝統的な薬草の知名度が高まることを期待しております」

マイ会長の志は多くの組織と企業からの関心と支援を集めています。ベトナム農村部企業開発センターはザオ族コミュニティ協同組合の製品の商品化やマーケティング、人材育成、資金調達などを支援している組織の一つです。同センターのディン・ティ・アイン・トゥイェット顧問は次のように語りました。

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「当センターがザオ族コミュニティ協同組合を選んだ理由は、組合の後ろには貧しさから抜け出したいと思っている女性たちを始め、つながりが強いコミュニティが支えていることにあります。特に協同組合の会長マイさんは自力自強ですが、村人への大きな愛情を持っている人です」

マイさんの決意と努力により、ザオ族秘伝の「薬草風呂」は地元の人々の健康維持だけでなく、村人の生活改善にも寄与しています。

 

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