折り紙に魅せられて、ベトナムで本を出版しようとするアーチスト

(VOVWORLD) - 折り紙は日本の伝統的な遊びのひとつですが、多くの国に広がっています。ベトナムでは、過去20年間で折り紙に興味を持つ若者が増えており、彼らの作品の多くは日本の折り紙アーチストをも驚かせています。折り紙に魅せられている若者、29歳のグエン・ナム・ソンさんです。
折り紙に魅せられて、ベトナムで本を出版しようとするアーチスト - ảnh 1ソンさんの作品の一つ

ハノイで保険の仕事をしているソンさんは忙しい中でも、毎日折り紙をする習慣があります。竜や怪物、仏像など難易度の高い折り紙ができるソンさんは、韓国の国立紙博物館が2016年に開催したコンテストで2位を獲得したほか、2017年にスペインのザラゴザ博物館の展示会にも作品を出展しています。ソンさんの話です。

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「私が折り紙に興味を持ち始めたのは高校3年生の時でした。台湾の有名なマンガ「折紙戦士」がきっかけになっています。勉強に疲れた時に折り紙をすると、リラックスできました。職人は仕事中に疲れることはないと思いますが、私の折り紙も同じです。今では、折り紙は私の生活の一部となっています。夜、職場から帰った後、約1時間折り紙をしています」

折り紙に魅せられて、ベトナムで本を出版しようとするアーチスト - ảnh 2ソンさん(真ん中)と折り紙を学んでいる人

ソンさんは最初、本から折り紙の折り方を学びましたが、今では本を一切参考にせず、独自の創作の道を歩んでいます。この10年、折り紙への情熱を持ち続けている彼は「創作のヒントはどこにでもある」と述べ、次のように語りました。

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「周囲のいろいろなものを見ては、『これを紙で折るとしたらどんな風に折り始めて、最終的にどんな風になるだろう』と考えます。そして実際にその答えを探ってみるのです。アイデアを出してデザインを描く過程から出来上がりまでは平均で2~4週間かかりますが、難しくて複雑な折り紙はもっと時間がかかります。切ったり貼ったりすることなく、折るだけという条件で、1枚の紙で頭や足をどう折るのかを前もって考えなければなりません。たまに、3Dデザインソフトを使ってデザインします。手で折るので、1回で成功する作品はありません。何回もやり直し、少しずつ直さなければなりません。折り紙は本当に長い時間がかかりますね」

折り紙に魅せられて、ベトナムで本を出版しようとするアーチスト - ảnh 3最新の作品

これまでたくさんの作品を作りましたが、ソンさんが最も気に入っているのはファンタジー冒険映画「ロード・オブ・ザ・リング」をモチーフにした「ヨーロッパの竜」です。1メートル×1メートルの紙で折られたこの作品を作るため、約2か月間かかってデザインと折り方を考えましたが、出来上がるまではさらに1か月がかかりました。この作品は現在、スペインのザラゴザ博物館に展示されています。「ヨーロッパの竜」のほか、ケンタウルスや鳳凰、森の神など神話の人物や怪物がおおく折られ、折り紙の好きな人や折り紙アーチストらから好評を得ています。しかし、ソンさんにとって最大の成功は和紙の代わりに、「ゾー」というベトナムの伝統的な紙で折るということです。ジンチョウゲ科のゾーという木の皮から作られるこの紙は、かつては朝廷の公文書や科挙試験の答案用紙などに用いられたほか、伝統版画の紙としても親しまれていました。ソンさんは次のように語りました。

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「2012年に折り紙を始めましたが、最初は普通の紙しか使っていませんでした。この紙は薄いので、複雑な折り紙をする時、破けやすいです。しかし、折り紙専用の和紙は高すぎるため、ほかの紙を使えるかどうかを探ってみました。いろいろな紙を使ってみましたが、「ゾー」という紙を見つけました。しかし、この紙を使うためにはのりをつけなければなりません。そうすると和紙とはあまり違わなくなります。現在、私はのりをつけた「ゾー」の紙しか使っていません」

折り紙に魅せられて、ベトナムで本を出版しようとするアーチスト - ảnh 4ソンさんとカンパイ・ワインズとの協力による成果

ソンさんは作品をソーシャルネットワークに何度も掲載しており、折り紙の好きな人だけでなく、折り紙を商品PRに利用している企業からも好評を得ています。例えば、カンパイ・ワインズというワインメーカーは、中国の想像上の動物「キリン」をモチーフにしたソンさんの作品を「ツチノコエ・カベルネ・ソービニョン」というワインシリーズのPRキャンペーンに使いました。折り紙はソンさんの収入の一部となっていますが、彼にとって心身を鍛える最高のものです。ソンさんは、ベトナムで折り紙の普及を進めようとしていると述べ、次のように語りました。

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「折り紙は単なる遊びではなく、論理的思考力や綿密さ、器用さを高める訓練にもなります。そのため、折り紙への興味をより多くの人に伝えたいと思い、10歳から15歳までの子どもを対象に折り紙教室を開いています。また、共通の趣味を持っている幾人かの友達と協力してベトナムで折り紙の本を出版する計画があります」

ソンさんはこれかも、折り紙の研究を積み重ねて自分のスタイルを確立し、プロとしての道を歩むために全力を尽くすとしています。

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