オドゥ族の「最初の雷」というお正月

(VOVWORLD) - ベトナム中部ゲアン省トゥオンズオン県に住むオドゥ(O Du)族にとって、長い間鳴らなかった後の雷は新年を告げるものです。そのため、オドゥ族のお正月は「最初の雷」を意味する「チャム・フチョン(Cham Phtrong)」と呼ばれており、オドゥ族にとって最も重要な行事です。
オドゥ族の「最初の雷」というお正月    - ảnh 1「最初の雷」を祝う儀式の準備

オドゥ族は元々ラオスの中部に居住し、人口はかなりいましたが、14世紀の終わりごろ、戦争が起きて全滅の危機に陥ってしまいました。全滅を避けるためには、皆ばらばらになって、森や山の奥へ移住せざるを得ませんでした。そのため、暦がなく、自然の現象に基づいて時間を確定するようになりました。その中で、雷の音に基づいて新年を迎える習慣があります。

トゥオンズオン県バンモン村に住むオドゥ族の一人マック・ティ・ティムさんは次のように話しました。

(テープ)

「オドゥ族はかつて、森と山の中にいたので、暦やラジオ、新聞などは全然なかったです。そのため、雷の音を聞いて新年を迎えました。長い間、鳴らなかった後の雷を聞いて、新年を楽しみます。」

「最初の雷」を祝う儀式はオドゥ族にとって最も神聖な儀式です。この儀式は、佳い年を祈るだけでなく、村の村長の就任や祈祷師を認定したり、赤ん坊を名付けたりするなど村人の重要な出来事を行う場でもあります。オドゥ族の人々の考えでは、人間の人生は生まれてから死ぬまで雷の音に左右されます。最初の雷が鳴らなければ、赤ちゃんは名付けられず、年齢も認められないからです。また、最初の雷が鳴った時だけに、死んだ人の魂は天国に行けると考えられています。そして、死んだ人の配偶者が再婚しようとしても、最初の雷が鳴るまで待たなければなりません。最初の雷が鳴らない限り、死んだ配偶者に再婚を許可してはならないのです。

オドゥ族の「最初の雷」というお正月    - ảnh 2儀式を主宰している祈祷師

「最初の雷」を祝う儀式で、村の祈祷師は村人を代表して、神様と先祖に村の平穏で豊かな生活を祈ります。先ほどのティムさんは次のように話しました。

(テープ)

「今日は最初の雷が鳴った日で、村人は全員、鶏や豚、リス、ネズミを用意して、雷の神様と先祖にお供えしました。佳い年になりますようにお祈りします。」

「最初の雷」を祝う儀式は、最も重要な儀式なので、たくさんのお供え物が用意されます。これは、神様と先祖に対する村人の心の現われであるとされます。

オドゥ族の一人ロ・バン・クオンさんは次のように話しました。

(テープ)

「経済的に余裕がある家族は豚を用意しますが、そうではない家族は鶏や魚などを用意します。かつてオドゥ族の先祖は森の中に住んでいたので、毎日の食品は森から狩ったネズミやリスなどでした。そのため、貧富を問わず、ネズミとリスを用意しなければなりません。またお供え物を2つ揃えなければなりません。」

また、お供え物の中で欠かせないものは去勢した雄鶏です。村人はこの雄鶏を食べた後、その足の骨を占い師に見せます。占い師は雄鶏の足の骨を見て、その年におけるその家族の幸運や不運を予測します。オドゥ族の人の考えでは、最初の雷が鳴った後、最初に鳴るのは鶏なので、鶏は雷の神様のメッセージを伝える役目があるということです。

「最初の雷」を祝う儀式の後、村人は宴を行い、踊りや民間遊戯を楽しみながら、互いに新年のお祈りを交わします。

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