カオバン省のザオ族の錦織の保存

(VOVWORLD) - ベトナム北部山岳地帯のカオバン省グエンビン県ホアタム村は少数民族ザオ族の居住地です。ここのザオ族の人々は今もなお、伝統的な錦織職業を保存しています。錦織は単なる服装ではなく、ザオ族の文化と信仰の現れでもあるのです。
カオバン省のザオ族の錦織の保存 - ảnh 1ザオ族の女性 

ザオ族の錦織の主な材料は麻ですが、蜜蝋を使って模様を描くことが特徴です。ザオ族の錦織りは黒または藍色をベースにして、白と青も少し加えます。そして、絵柄の中心は動物や鳥、植物、日常生活の様子などを中心とした様々な模様ですが、これらの模様は、日常生活を反映させるとともに、大自然に関するザオ族の考え方を示しています。例えば、星は自然の力を象徴しますが、犬は先祖を思い出させるものです。そして、8のビラがある花は幸運を求める意味です。

ザオ族の女性は子どもの頃も、母親から錦の織り方を教わります。結婚する前まで、綺麗な衣服を作らなければならないと仕込まれているからです。ザオ族出身の女性ならば、誰もが錦織ができます。女性たちの器用な手先で作られる独特な衣服や布団などがよく知られています。ホアタム村のザオ族の一人バン・ティ・スアンさんは次のように話しました。

(テープ)

「いい錦織を作るために、まずいい布を選んでから色を染めます。その後、模様を描きます。民族衣装のほか、バッグやスカーフなどを作っていますが、どれでも忍耐力と器用さが求められます。全ては手作りなので、心をこめて作らなければなりません。これにより、我が村の錦織は多くの人に愛用してもらっています。」

カオバン省のザオ族の錦織の保存 - ảnh 2 ホアタム村の錦織グループの錦織

しかし、時代の流れの中で、洋服を着る人が多くなるにつれて、伝統的な民族衣装を着る人が減り、錦織りが消滅の危機に追いやられた時期もありました。こうした事態を前に、伝統的な錦織りを保存・開発するための取り組みが始められました。

2012年、カオバン省コミュニティ発展センターの支援により、伝統的な錦織に詳しい職人17人からなるホアタム村の錦織グループが設立されました。このグループは、錦織を作るほか、若い女性に錦織の伝統的な技術を教えました。最初は、周りの住民と観光客向けの錦織を作りましたが、近年はハノイやホーチミン市などで行なわれる見本市や展覧会でも錦織を紹介しています。グループの担当者チエウ・ティ・ニムさんは次のように話しました。

(テープ)

「村の錦織グループは、ザオ族の伝統文化の保存だけでなく、村人の収入増加にも役立っています。私たちの錦織は多くの観光客にとって欠かせないお土産となっています。これからも、グループの活動を拡大したいと思います。」

現在、ホアタム村に足を運ぶと、女性たちが夢中になって伝統的な錦織を織っている昔と変わらない風景がよく見かけられています。これは伝統的な錦織が依然としてここのザオ族の生活に密着していることの現われといえるでしょう。

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