カオラン族の楽器

(VOVWORLD) - これらの楽器は今もなお、カオラン族のの生活でよく使われており、この民族の文化を支えています。

ベトナム東北部に居住している少数民族カオラン族は、サンチやサンチャイなどとも呼ばれています。2019年の国勢調査によりますと、その人口は20万人あまりで、大部分がトゥエンクアン省、タイグエン省、バクザン省などに住んでいます。カオラン族について触れるならば、伝統的な民謡と踊りを抜きにして語ることはできません。カオラン族の人々は民謡を歌ったり、踊ったりする時、様々な楽器を使うので、楽器はこの民族の精神生活に欠かせない存在です。

カオラン族の楽器 - ảnh 1カオラン族のテラコッタ製の太鼓

カオラン族の楽器の中で最も有名なのはテラコッタ製の太鼓です。この太鼓の胴は粘土を焼いたもので、その長さは約60センチです。太鼓の胴は真ん中の部分が小さいですが、両端は膨らんで、動物の皮で覆われます。トゥエンクアン省ソンズオン県ダイフ村に住む太鼓職人のサム・ヴァン・ズンさんによりますと、太鼓を叩くとき、紐で腹部に太鼓を横にかけ、太鼓の一つの面を手で、残りの面を木製のバチで叩き、その音は、テラコッタの性質を反映するのが特徴です。ズンさんは次のように話しました。

(テープ)       

「この太鼓は歌う時ではなく、踊るときにも使われます。叩くとき、踊りのメロディーと合わせて叩きますが、長い踊りの場合は1時間叩いても大丈夫です。」

テラコッタ製の太鼓は踊りだけでなく、雨ごいや、新米収穫祭り、幸運を祈る儀式などカオラン族の行事にも欠かせない存在です。

カオラン族の楽器の中で最も独特なものは「歌うパイプ」という楽器です。この楽器は、竹の節2本を細い糸でつなげたものです。その糸の長さは普通は数メートルですが、50メートルの場合もあります。2人の歌い手はそれぞれ1本の節を持ちます。節の端の一つは蛙の皮で覆われ、残りの端は歌い手が歌うところですが、相手が歌う時、その端を自分の耳に接して聴きます。歌声は糸によって相手の節に伝わります。ソンズオン県ダイフ村に住む職人サム・ヴァン・ダオさんは次のように話しました。

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「かつての糸は今よりかなり長いです。今は約2メートルほどです。竹の節は約15センチです。今は蛙の皮というより布を使う人が多くなっています。」

カオラン族のもう一つの代表的な楽器は「ピレ(Pi Le)」という楽器です。この楽器は唇をふるわせて音を出す吹奏楽器で、マウスパイプ、ベルという2つの部分からなります。竹製のマウスパイプは長さが約40センチで、その上には、同じ間隔を置いてくり抜かれた穴が6つか8つあります。ベルは銅製の円すい形のものです。職人サム・ヴァン・ダオさんは次のように話しました。

(テープ)          

「かつては民謡を歌う時や、葬儀の時に使われましたが、民謡の歌い手の歌い方が様々なので、ピレと合わない歌い手もあります。そのため、現在、葬儀で使われるのが一般的です。墓場へ向かうとき、ピレは太鼓やシンバルと一緒に、死人の魂を別世界に見送るメロディーを披露します。」

ピレと同様、シンバルはカオラン族の葬儀に欠かせない存在です。シンバルは銅製の平たい丸いお盆2枚からなりますが、ドラよりサイズはかなり小さいです。真ん中には穴があり、その穴を通して赤い紐で2枚のお盆が絞られます。

これらの楽器は今もなお、カオラン族の生活でよく使われており、この民族の文化を支えています。

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