ムノン族の健康祈り儀式

(VOVWORLD) - 健康祈り儀式は、病気から回復した人がこれから元気に暮らせるようにというものであり、お祝いをするために集まった一家全員の家族団欒でもあります。

ムノン族は中部高原地帯の各省に点在する少数民族であり、人口はおよそ10万3千人です。ムノン族は東南アジアのモン・クメール語系に属し、豊な文化を保っています。その中で、健康を祈る儀式はこの民族の精神生活で重要な位置を占めています。

ムノン族の健康祈り儀式 - ảnh 1

ムノン族の健康祈り儀式

健康を祈る儀式は、病気から回復した人がこれから元気に暮らせるようにというものであり、お祝いをするために集まった一家全員の家族団欒の場でもあります。この儀式は、祈祷師の主宰の元で、夕方に行わなければなりません。儀式で使われるお供え物は2つの地酒のカゴ、1匹の豚、1羽の鶏、ご飯、ろうそくなどです。中部ダクラク省ブオンドン県ナスオック村に住むムノン族の一人ウ・ウィットさんは次のように話しています。

(テープ)

「長い間病気にかかった場合、回復したら、小さい儀式を行ったほうがいいですよ。豚も鶏も小さくてもいいので。儀式を行うことによって、これから元気になって日常生活に戻り不運に遭わないと思えるから、安心して暮らせるのです。」

ムノン族の健康を祈る儀式は庭での儀式と、家での儀式という2つに分かれています。最初は庭での儀式です。この儀式のお供え物は地酒の小さい瓶とちょっとした豚肉です。そして、バナナの木と葉でできた、象、水牛、牛などの形をしている模型、卵の殻でできたお酒の瓶の模型、そして、乾燥したヒョウタンの皮でできたドラセットの模型も用意しなければなりません。これらは、その家庭の資産を象徴するもので、先祖に献上するためのものです。

ムノン族の健康祈り儀式 - ảnh 2

庭での儀式を行っている祈祷師

庭での儀式を行うのは、そのオーナーと祈祷師だけです。病気から回復した人をはじめ、残りの人は家の中にいなければなりません。この儀式で、祈祷師は、魂がその家族の人に迷惑をかけないようにというお祈りをします。儀式で使われたお供え物は家の中に持ち込んではいけません。ダクラク省ブオンドン県に住むムノン族の一人ボ・ムプルルさんは次のように話しています。

(テープ)

「この儀式は、神と亡くなった人の魂に対し、病気から回復した人が元気になって日常生活に戻れるようにこの人に迷惑をかけないようお祈りをするためものです。」

庭での儀式が終えたら、家での儀式が行われます。この儀式では、病気から回復した人が地酒のカゴの隣りに座り、その周りには、鳥肉、米、ろうそく、銅製の腕輪などが置かれます。祈祷師は、病気から回復した人の向かい側に座って次のようなお祈りをします。

(テープ)

「今日は、これからこの人がいつも元気で、心配することなく、よく食べたり、よく寝たりして、畑仕事がよくできるように儀式を行い、神様にこの人の平穏な生活を守っていただけるようお願い申し上げます。」

このようなお祈りをしたら、祈祷師は銅の腕輪を、病気から回復した人の胸へ近づかせ、それから、その人の腕にかけさせます。その後、病気から回復した人は、最初の人としてお酒を飲みます。その人に次いでお酒を飲むのはその一家の主と家族です。みんながお酒を飲んでいるとき、祈祷師は、お酒を少し台所へ持って行って、その家庭の幸福をカマドに祈ります。

ムノン族の健康祈り儀式は、祈祷師のお祈りは人間の健康が守れるという思いから生じたものです。そのため、現在、医療システムが発展し、住民の健康保護に役立っているので、この儀式を行う人が少なくなっています。しかし、ムノン族の伝統文化を守るとともに、一家団欒を楽しむために、どうしてもこの儀式を行いたいという家族はまだ残っています。

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