これはベトナムの党書記長による13年ぶりの公式訪問となり、両国の戦略的信頼を象徴するとともに、協力関係を一段と具体的かつ実質的な次元へと導く歴史的な節目となるものです。

10月17日　トー・ラム書記長　イギリスのフル大使と会見　写真撮影: Thong Nhat

現在、2010年に構築されたベトナムとイギリスの戦略的パートナーシップは、あらゆる分野で大きく深化しています。2020年9月には、優先的協力分野を明確にした新たな共同声明を発出し、関係をさらに高い段階に引き上げていく方針が確認されました。

実質的かつ深い協力関係の明確な証

両国の戦略的パートナーシップは、インド太平洋地域における平和・安定・持続的発展に向けた共通のビジョンと長期的な協力の意思を示すもので、イギリスはベトナムを同地域の重要なパートナーと位置付けています。一方、ベトナムにとっても、EU離脱後のヨーロッパにおける最重要パートナーの一つとしてイギリスを捉えています。

経済・貿易は、両国協力の中でも極めてダイナミックな柱です。過去10年間で二国間貿易額は3倍に拡大し、現在では年間70億ドル規模に達しています。とりわけ2023年、ベトナムの強い支持の下でイギリスがCPTPP＝環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定に正式加盟したことは、持続的な成長と投資促進に向けた重要な節目となりました。在ベトナムイギリス大使館のイアン・フル大使は次のように明らかにしました。

(テープ)

「これまで以上にイギリスとベトナムの関係は深まっています。CPTPPの枠組みにより、両国企業の取引は一層円滑になります。現在、イギリスとベトナムは12か国による経済ブロックの一員です。私達は共に、将来のための先進的な通商ルールを形作っていきます」

現在、イギリスはベトナムにとって上位15番目の投資国であり、500件を超えるプロジェクトが有効で、その登録投資額は約40億ドルに上ります。BP、プルデンシャル、HSBC、スタンダードチャータード、アストラゼネカなどの大手企業が積極的に事業を拡大し、ベトナムの安定した投資環境と高い成長ポテンシャルへの信頼を示しています。またイギリスは、国際金融センターとしての経験を活かし、ベトナムの近代的で透明性の高い金融システムの構築にも力を入れています。

ビン副首相　写真撮影：　Tran Viet

去る9月に開催された英国・ベトナム首脳会合で、グエン・ホア・ビン常務副首相のは次のように強調しました。

（テープ）

「これは、ベトナムとイギリスの経済パートナーシップが極めて効果的に機能していることを示す、非常に象徴的な事例です。ロンドン金融センターによる投資家の紹介などを通じ、ベトナムの金融市場への資金流入が今後さらに拡大することを期待しています」

教育分野も、二国間協力の中で極めて重要な成功例の一つです。現在、1万2000人を超えるベトナム人留学生がイギリスで学んでおり、ASEAN諸国の中でも最上位の規模です。また、両国の大学・大学院などによる数百件もの共同教育プログラムがベトナム国内で展開されています。

さらに、国連やその他の多国間枠組みで協力が拡大しており、将校の訓練、PKO＝国連平和維持活動、サイバーセキュリティ、越境犯罪対策などの分野でも、連携が強化されています。先ごろ、ハノイで行われた国連サイバー犯罪対策条約の署名開始式では、イギリスのフルー大使が次のように強調しました。

(テープ)

「ハノイ条約の一員として、ベトナムが極めて重要な役割を担っていることを大変誇りに思います。イギリスはベトナムと共に、国際社会と連携しながら、サイバー犯罪に立ち向かってまいります」

両国は2050年までのネットゼロ達成を共に掲げ、JETP＝公正なエネルギー移行パートナーシップの枠組みで緊密に協力を進めています。特に、グリーン交通や沿岸地域での気候変動対応をめぐる新たなプロジェクトは、「グリーン時代のパートナーシップ」を象徴する取り組みとして注目されています。

今回の訪問では、トー・ラム党書記長とイギリスの指導者が、AI=人工知能・半導体・クリーンエネルギー・国際金融センターの発展といった中核分野に焦点を当てる見通しです。また、将来の人材育成に向けた教育・スキル訓練協力の強化や、エネルギー・グリーントランスフォーメーション分野における新たなイニシアチブの推進も協議されます。

今回の訪問を契機に、ベトナムとイギリスの関係は、グリーン・デジタル時代にふさわしい包括的な戦略的パートナーシップへと、さらなる飛躍を遂げようとしています。