ベトナム民族の大団結精神の源

(VOVWORLD) - 旧暦3月10日に当たる4月21日、ベトナム全国民はベトナムの建国の祖・フン王の命日を記念し祝いました。

ベトナム民族の文化遺産において、フン王の命日を記念することは民族の大団結の精神や、「水を飲むとき、その井戸を掘った人の恩を思う」という良き伝統を示すものとみられています。

数千年前、ベトナム人は、北部フート省ビェトチ市ヒクオン村にあるギアリン山で、各世代のフン王を祀る神社を建立しましたが、現在、ベトナム全土で、フン王とフン王時代の将軍などを祀る神社は1400カ所以上であり、その中の345カ所はベトナム民族の発祥地とされる北部フート省に集中しています。また、アメリカや、ロシア、チェコ、ラオスなどベトナム人が多数在住している国々にもフン王を祀る寺院があります。

毎年、旧暦3月10日のフン王の命日にあたり、数百万人のベトナム人がフート省にあるフン王神社に参拝し、献花したり、線香を手向けるなどして、フン王をはじめ祖国の建設・防衛・発展事業に功労があった人々の恩に報い、国の平和・繁栄・発展などを祈ります。

ベトナムの党と国家もフン王を祀ることに特別な関心を寄せています。1946年2月10日、ホーチミン主席は年中祭日・祝日に関する勅令(22C NV/CC号)を発布し、その中で、フン王の命日を休日に定めました。同年、当時のフイン・トゥク・カン国家主席代行はフン王の命日を記念する式典に参加し、ベトナムの地図や、一本の剣を奉納し、外敵を破り、国の平和・独立・自由を取り戻すことを祈願しました。

1954年9月19日、フランス植民地主義者との闘いが終わった後、ホーチミン主席はフン王神社に参拝しました。当時、間もなくハノイに進軍する先鋒大軍団の兵士との懇親会で、ホーチミン主席は、「各世代のフン王は建国の功労があり、我々は国を保護すべきだ」と強調しました。

さらに、2007年4月2日、国会は労働法改正案を採択し、その中で、フン王の命日を有給休日に定めました。そして、今日、フン王の命日は全国民の大規模な祭りとなっています。政府はその儀式、祭典、規模、関連活動などに関する具体的な規定を発布しました。

特に、2012年12月6日に、UNESCO=国連教育科学文化機関はフン王を祀る信仰を世界無形文化遺産に認定しました。ユネスコはその決定書の中で、「フン王を祀る信仰は先祖への尊敬心を示すものである。こうした尊敬心は民族の精神的価値と科学的価値の結合であり、ベトナム文化の猛烈な活力を立証する」と強調しました。

フン王の命日である旧暦の3月10日にフン王を祀る寺院を1度でも訪れて拝むことはベトナム人にとって生涯の願望です。「どこに居ても、3月10日の命日は覚えていてね」という言葉はベトナム人の誰もが心の中にもっています。フン王を祀る信仰は民族精神のシンボルであり、民族大団結のルーツでもあると言えます。今後も、この美しい伝統は次の各世代に引き継がれてゆくことでしょう。

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