（写真：ロイター）

テロを実行したのは、アフガンと隣国パキスタンにまたがる地域の領有を一方的に主張するＩＳ系勢力とみられます。国連の報告書によりますと、この勢力は近年、支配地をタリバンに次々と奪われたため、カブールなど都市部での爆弾テロに活動の軸を移したということです。

アフガニスタン国民は首都カブールが国際テロ組織タリバンに占拠されて以来、常時失業リスクに直面していると指摘されています。銀行は営業を停止したままで、食料品は値上がりし続けていると言いました。WFP＝国連世界食糧計画によりますと、アフガンの3人に1人が飢えに苦しみ、子どもは200万人が栄養不良の状態にあります。数十年にわたる紛争だけでなく、深刻な干ばつや新型コロナウイルスの感染拡大による貧困が原因です。

タリバンの進攻によって多くの人々が避難を余儀なくされ、食料不足に一段と拍車がかかる可能性があります。WFPでは、2000万人もの人々が食糧を必要とし、9月までに現在の備蓄が不足する可能性があるとしています。アフガニスタンの人々を12月末まで支援するためには、5万4000トンの食糧が必要で、食糧の購入には約2億米ドル（約220億円）が必要です。

こうした中、アフガニスタン人への支援を訴える集会が世界各地で相次いで開かれました。参加者たちは、「アフガニスタンを守れ」などと書かれたプラカードを掲げ、バイデン政権に対し、国外退避を求める市民をできるだけ多く支援することや、女性の権利を保護することなどを訴えていました。

アフガニスタンの情勢をめぐり、国連の安全保障理事会が緊急会合を開き、すべての敵対行為を即時に停止するとともに、女性が完全に平等に参加できる「新政府」の樹立を求めました。また、アメリカとEU=欧州連合の１９カ国は、イスラム主義組織タリバンが全権掌握したアフガニスタンについて、女性の保護を呼び掛ける共同声明を発表しました。声明で、「アフガニスタンの女性の教育を受ける権利、働く権利、移動の自由について深く懸念している」とし、国際社会は人道支援を提供する用意があるとしています。