グローバルな課題を解決するための取り組み

(VOVWORLD) -日本の岸田文雄総理が議長を務める先進7カ国首脳会議(G7サミット)が5月19日から21日、広島市で開催されました。
国際社会が歴史的な転換期を迎える中、G7各国の首脳が結集し、法の支配に基づく国際秩序を守り抜くという強い意志を内外に示しました。
20日、先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)は、国際社会で存在感を高め「グローバルサウス」と呼ばれる新興・途上国への関与をテーマに2日目の討議に入りました。食料危機やエネルギー問題といった地球規模の課題を抱える国が多いことを踏まえ、G7が結束して支援強化を打ち出しました。
同日午後、広島サミットは、グローバルサウスの代表格であるインドやブラジルを含む招待国8カ国も参加し、拡大会合を開きました。保健、開発、ジェンダー、気候変動が議題となりました。日本の岸田文雄首相は19日夜、記者団に「G7だけでは対応できない課題だ。グローバルサウスの国々をはじめ国際社会と協力し、具体的な貢献を示したい」と述べました。グローバルサウスは、欧米や日本に必ずしもくみしない立場を取る国が多く、G7として連携を強化できるかどうかが課題となっていました。
経済安保を巡る20日の討議では、覇権主義的な動きを強める中国への経済依存を減らすため、重要鉱物などの供給網を多様化する方策も話し合いました。
21日に閉幕したG7広島サミットでは、ウクライナとの軍事衝突や米中対立が続くなか、経済安全保障の強化やデジタル分野のルールづくりなどにG7として結束して取り組む姿勢を打ち出しました。
経済分野では経済安全保障について、ウクライナとの軍事衝突をきっかけにぜい弱性が浮き彫りとなった重要鉱物や半導体などのサプライチェーン=供給網を新興国や途上国とも協力して強化することで一致しました。
また、中国を念頭に禁輸などの措置で他国の政策や意思決定に影響を与えようとするいわゆる「経済的威圧」に対抗するため、G7として被害を受けた国々を支援する「調整プラットフォーム」を立ち上げることで一致しました。
さらにデジタル分野では、ChatGPTなど生成AIの急速な普及を受けて、「広島AIプロセス」として信頼できるAIの普及に向けて閣僚級で議論し、年内に報告をまとめることで一致しました。
一方、気候・エネルギーの分野では、石炭火力発電の廃止時期の明示や、電気自動車の導入の数値目標を設定するよう求める欧米諸国と、慎重な立場の日本との間で調整が続きました。
しかし、ウクライナとの軍事衝突や中国が影響力を拡大させるなか、G7の結束などを優先させようという思惑もあり、サミット直前に開かれた閣僚会合の内容を引き継ぐ形で決着しました。
議長国の日本としては、「グローバル・サウス」とも呼ばれる新興国や途上国とも連携して経済分野の課題に結束して取り組む姿勢を強く打ち出せたと評価していますが、今後はその実効性が問われることになります。

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