シリアでの米政権の最初の軍事行動

(VOVWORLD) - アナリストらによりますと、中東の問題はアメリカ新大統領の最優先問題ではありませんが、シリアでのバイデン政権のこの軍事行動は、情勢の複雑化につながり、緊張をエスカレートさせる原因になるとしています。
シリアでの米政権の最初の軍事行動 - ảnh 1(写真:AP)

アメリカ軍が先週、シリアで実施したイランが支援するとされる民兵組織の拠点への空爆について、世界の多くの国々は批判し、この行動が地域内情勢を悪化させる可能性があると指摘しています。

25日、アメリカ軍は、シリアでイランが後ろ盾とされる民兵組織が使っている拠点を空爆しました。国防総省は声明で、バイデン大統領が攻撃を承認したと説明しました。バイデン政権が親イラン勢力を対象に攻撃を行ったことが明らかになるのは今回が初めてです。イランが後ろ盾とされるイスラム教シーア派武装勢力「神の党旅団(カタイブ・ヒズボラ)」らが使用する複数の施設を破壊したということです。

今回の空爆はアメリカがイランと核開発をめぐる交渉に備える中で実施され、すでに不安定な状況がさらに複雑化させる可能性があります。また、バイデン政権の政策推進に支援が必要となる議員らとの対立も生み出す恐れがあります。

2月15日には、イラク北部のアルビル国際空港付近で米軍率いる有志連合の部隊にロケット弾が着弾し、民間請負企業の1人が死亡、米軍兵士1人と民間請負企業の4人が負傷していました。この時点でホワイトハウスのジェン・サキ報道官は、「我々が選んだ方法と時期において対応する権利を有する」と述べました。

国防総省は、空爆の目的について、「バイデン大統領は米国人や有志国連合の人員を守るという明確なメッセージを送るものだ」と強調しました。空爆を「防御的な精密攻撃だ」とも説明しました。攻撃対象を限定しつつも、武力を誇示することで武装勢力による追加攻撃を抑止する狙いがあります。

これに関し、シリア外務省は、国連事務総長及び国連安全保障理事会議長に書簡を送付し、シリア領土に対するアメリカの攻撃は国際法及び国連憲章に違反すると非難しました。シリア外務省はこの書簡の中で、国連安全保障理事会に対し、世界の平和と安全保障を維持するという責任を果たすよう求めるとともに、シリア領土に対するアメリカの攻撃の再発防止のため、安保理として即刻この事態に対応するよう、繰り返し求めました。

また、ロシアと中国は、シリアに対するアメリカの空爆を国際法違反行動として批判した上で、「すべての関係者に対し、シリアの主権・独立・領土保全を尊重し、中東地域内複雑化を回避する」よう求めていました。

アナリストらによりますと、中東の問題はアメリカ新大統領の最優先問題ではありませんが、シリアでのバイデン政権のこの軍事行動は、情勢の複雑化につながり、緊張をエスカレートさせる原因になるとしています。

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