活気あふれるハノイの街の中に、伝統文化を現代の感覚で体験できる新たな文化空間があります。トー・ゴック・バン通り66番地にある「カザオ・コレクティブ(CADAO Collective)」です。
ここでは、公演を見るだけでなく、芸術家との交流や伝統楽器の体験、食文化などを通じて、ハノイの文化を五感で楽しむことができます。
特徴は、ハノイを代表する3つの伝統芸術、水上人形劇、「カーチュー」、そして「ハットサム」を一つの空間で紹介していることです。ハットサムは庶民の暮らしや街の息づかいを伝え、カーチューは昔のハノイの優雅さと知的な趣を、水上人形劇は祭りや民話の世界を表現します。
カザオ・コレクティブでマーケティングと戦略を担当するグエン・ミン・タンさんは、次のように話しました。
(テープ)
「私たちは、ベトナムの文化遺産を現代の暮らしの中に取り入れたいと考えています。ここは遺産を枠の中に収めて展示する静かな博物館ではありません。文化遺産が生き生きと息づき、今の都市生活に寄り添う場所にしたいのです」
水上人形劇の「ロイ・ショー」では、昔から伝わる民話を題材に、水上人形と影絵を組み合わせています。音楽も伝統的な旋律と新しい楽曲を融合させ、若い世代にも親しみやすい演出となっています。
テイホー水上人形劇団の芸術監督、タ・チュン・ズンさんは、次のように話しました。
(テープ)
「水上人形劇は、昔から人々の暮らしとともに歩んできた伝統芸術です。私たちは、伝統的なものを変えるのではなく、その価値を守りながら新しい要素を加えています。舞台や人形の動き、音楽などを工夫し、若い人たちにもより身近に感じてもらいたいと思っています」
一方、カーチューやハットサムでは、熟練した芸術家たちが間近で演奏し、その歴史や表現について直接語りかけます。
タ・チュン・ズンさんは、若者の関心も高まっていると話します。
(テープ)
「年配の方だけでなく、今は若い人たちもハットサムやカーチューに大きな関心を持っています。ここでは、伝統芸術を楽しむだけでなく、芸術家の話をすぐそばで聞き、より深く知ることができます」
来場者は、三弦楽器のダンデイや一弦琴のダンバウ、二胡に似た楽器など、ベトナムの伝統楽器に実際に触れることもできます。
グエン・ミン・タンさんは、今後について、次のように話しました。
(テープ)
「これからは、カーチューやハットサム、水上人形劇の教室も開き、次の世代の芸術家を育てていきたいと考えています。一度訪れるだけで、ハノイの文化と芸術の魅力を幅広く体験できる場所にしたいです」
施設では、伝統芸術だけでなく、地域の食材や民間文化に着想を得た料理も楽しめます。
ハノイ市民のグエン・チュン・ヒエウさんは、次のように話しました。
(テープ)
「1階には水上人形劇、2階には食の空間、3階にはハットサムとカーチューがあります。手作りの料理と伝統芸術が一つになっているところが印象的でした。温かい雰囲気の中で飲み物を楽しみながら伝統芸術を見ることで、ハノイ文化をより身近に感じることができました」
装飾や舞台道具、食の空間に至るまで、手仕事を大切にするカザオ・コレクティブ。伝統をそのまま保存するだけでなく、現代の暮らしの中で再び息づかせ、次の世代へ伝える新たな試みとなっています。
