米国向けナマズの新たな反ダンピング税率

先頃、アメリカ商務省はベトナムから輸入するナマズの一種であるチャーとバサという魚の加工品に対して、これまでの数十倍に及ぶ反ダンピング税率を決定しました。この決定はベトナムのチャー魚、バサ魚の養殖業者に悪い影響を与えています。

米国向けナマズの新たな反ダンピング税率 - ảnh 1

アメリカ商務省の決定によりますと、アメリカ向けのナマズ加工品の輸出額がベトナムで最も多いビンホアン( Vinh Hoan) 社の場合、税率がこれまでの0%から、1キロ当たり19米セント(18.2円)に急上昇します。その他、ビンアン( Binh An) 、フンブオン( Hung Vuong) 、カドビメックス、アンビフィッシュ、ドシフィッシュなどの16社については、ビンホアン社を上回る1キロ当たり77米セント~3.87米ドルへと大幅に引き上げられます。これにより、1キロ当たり、チャ魚の養殖者は2千~3千ドンの損失となります。また、チャ魚の輸出価格が下がるとともに、高い反ダンピング税率を適用すれば、ベトナム南部メコンデルタ地域の多くのナマズ養殖者は破綻に追い込まれることになります。南部アンザン( An Giang) 省チャウフー( Chau Phu) 県のチャ魚養殖業者であるチャン・バン・チュン( Tran Van Trung) さんは次のように語りました。

(テープ)

「2年連続で、経営赤字になり我慢できません。ナマズの養殖業を辞める業者もいます。いくつかの業者は頑張っていますが、飼料、種子の仕入れ価格、貸し付け利子の上昇により、赤字になっています」

アメリカ商務省はベトナム産チャ魚への反ダンピング税率をほぼ毎年定期的に見直ししており、今回は8回目です。今回の見直しにより、アメリカ商務省は同国に輸入したベトナム産チャ魚に対して、高い反ダンピング税率を適用することを決定しました。その理由として挙げられるのは従来はバングラデシュを基準に反ダンピングを課税しましたが、基準をインドネシアに(あらた)めたということです。これについて、ベトナムの声放送局アメリカ支局のインタビューに答えた際、在アメリカベトナム商務代表部のダオ・チャン・ニャン部長は次のように語りました。

(テープ)

「実際、今回の見直しに先立って、アメリカのナマズ養殖業者協会が、反ダンピング課税の基準をバングラデシュからインドネシアに改めるため議会のロビー活動を強化しました。この目的はベトナムから輸入されたナマズに対する課税を強化し、アメリカ市場におけるベトナムナマズの競争力を弱めるということです」

米国向けナマズの新たな反ダンピング税率 - ảnh 2

この8年、アメリカ商務省は連続して、ベトナムから輸入されるチャ魚の反ダンピング課税の基準として、バングラデシュを選びました。ですから、バングラデシュはベトナムとほぼ同じように、ナマズを養殖、輸出しています。そのような中、インドネシアはベトナムのナマズの冷凍品を輸入する他、世界各国にチャ魚を輸出していません。そのため、反ダンピング課税の基準をとしてインドネシアを選ぶ理由はありません。

アメリカ商務省のこの不正確な決定を前に、VASEPベトナム水産加工輸出協会とチャ魚輸出業者は「今後、必要な法的活動を通じて、アメリカ商務省に対し、アメリカ法律とWTO世界貿易機関との合意を基礎に、この決定を改正するよう働きかける」と明らかにしました。先ほどの在アメリカベトナム商務代表部のダオ・チャン・ニャン部長は次のように語りました。

(テープ)

「私たちの弁護士はアメリカ商務省とともに、今回の税率の計算方法を見直します。もし、計算方法には間違いがあるなら、アメリカ商務省に改訂を求めます。また、ベトナムは弁護士に対し、アメリカ国際貿易裁判所に対し、アメリカ商務省の決定を起訴するよう要請できます。」

なお、VASEPによりますと、現在、アメリカはヨーロッパに次いで、2番目のベトナムのチャ魚輸入国で、その輸入額は3億5800万ドルです。アメリカ商務省の今回の決定はベトナムのナマズ養殖、輸入業者だけでなく、アメリカの消費者に対してもマイナス影響を与えることでしょう。

 

 

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