イギリスのEU離脱協議、北アイルランド国境問題で「ノーディール」の恐れ

(morningstar.co.jp)イギリスのEU=欧州連合離脱交渉は、交渉の障害となっている手切れ金問題よりも大きな障害として、19年3月のイギリスのEU離脱後、北アイルランドとEU陣営のアイルランド共和国(南アイルランド)との国境問題が急浮上してきました。
イギリスのEU離脱協議、北アイルランド国境問題で「ノーディール」の恐れ - ảnh 1       (写真:AFP/TTXVN)

新たな障害の出現でイギリスはEUと自由貿易協定を結べずに強硬離脱する「ノーディール」の公算が強まっています。

北アイルランド国境問題については、EUと南アイルランドがイギリス政府に対し、南北アイルランドの約500キロにわたる国境を鉄条網や検問所などを設けて厳重に警備するハードボーダーを回避するために北アイルランドをイギリスのEU離脱後も事実上、EUの単一市場と関税同盟内にとどめるよう要求しています。

これに対し、メイ英首相の保守党政権を支えている連立与党の北アイルランドのDUP=民主ユニオニスト党のナイジェル・ドッズ副党首は11月25日の党大会で、「北アイルランドがEUの特別地域になれば、アイリッシュ海にイギリスとの国境が生じ、貿易に打撃が及ぶ。交渉の余地はない」と主張しました。EUの要求通りとなれば、連立政権解消の危機に発展しかねません。

なぜ、南アイルランドにとって北アイルランド国境問題が重要で、また、ブレグジット協議の進展にとって障害となるのか。この点について、英紙ガーディアンは6月21日付紙面で、「北アイルランドがEUの単一市場や関税同盟から離脱すれば、いくらハードボーダーにならなくても南アイルランド政府はEU規則に従って国境を越えて北アイルランドに向かう物資に対しVAT(付加価値税)や消費税を徴収するため税関が必要になる。メイ首相は、目に見えない国境(関税手続きの簡素化や最小限の貿易規制などの関税取り決め)とかシームレスな国境といっているが、それはイギリス側でできること。南アイルランド側ではそれはできない。面倒な輸出関係書類の準備や税関検査は避けられなくなる」と解説しています。だからこそ、EUは北アイルランドをEU特別地域に指定して、事実上、EUの単一市場と関税同盟に残させる提案をしたといえます。

ご感想

他の情報