英、分断深まる=EU離脱投票から2年

【時事】EU=欧州連合離脱を決めた2016年6月の英国民投票から23日で2年となります。

離脱、残留の両派に分かれて総力戦を繰り広げた代償は大きく、今も融和の糸口は見つかりません。「もう一度投票を」「あり得ない」。来年3月末に離脱が迫る中、国内の分断は深まっています。
◇政府・与党に亀裂
「敗者は結果を尊重し、勝者は寛大に行動する責任がある。そうやって国は一つになるのだ」。かつてメイ首相はこう訴えました。「ノーサイド」で敵味方なく結束できれば理想ですが、現実は程遠いです。
首相率いる与党・保守党は、親EU派とEU懐疑派の内輪もめが激化しています。政府内には亀裂が入り、離脱後にEUとどんな関係を築くかについての方針統一すらままなりません。先行き不透明感を拭えないゆえんです。
◇両派なお伯仲
国民の間でも反目は続く。世論調査では離脱への賛否が伯仲。「離脱は正しい」「間違い」という回答が40%台でせめぎ合う。
週末でにぎわうロンドン市内の繁華街。2年前、残留に一票を投じたエンジニアのデービッド・メイナードさん(54)は「英国はめちゃくちゃになった」と吐き捨てるように言いました。いつか離脱派と和解できる日が来ると信じていますが、「当面は無理だ。考え方が違う」とわだかまりを隠しません。
残留を支持した市内在住のクレア・モリスさん(28)は「奇跡が起きて、離脱しなくて済むことをずっと願っている」と、現実を受け入れられない様子だ。「どうして国民の半分以上が離脱派なの?」と頭を振りました。
◇職場で孤立
一方、会社員のルシンダ・バレンタインさん(47)は「周りが残留派ばかり」の職場で孤独をかみしめています。「もう同僚と政治の話はできない。自分が離脱派だと分かれば軽蔑される。投票のせいで孤立するなんて」と肩を落としました。
それでも「離脱は正しい選択だと思う。EUの言いなりにはなりたくない。世界に目を向けていきたい」と後悔はありません。残留派には再投票の待望論がありますが、「あり得ない。2年前の結果が逆だったら、そんな話はしないはずよ」と不信感をあらわにしました。

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