ヌン族の飲食文化


少数民族ヌン族は自給自足の生活を送ることを習慣にしています。そして、農業・畜産を主たる生計にするほか、森で猟をしたり、山菜を採ったりするのです。こうしたヌン族の食文化の多くは独特で美味しいと評されています。その中でも、ヌン族が最も多く居住している北部ランソン省は観光スポットになっています。

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ヌン族の代表的な料理「カウ・ヌック」

ヌン族は稲作を本業としているので、主食はお米です。夏には、おかゆを食べる習慣があります。もち米も栽培しているので、おこわもよく食べています。そして、もち米から、いろいろなおこわやお餅を作っています。年間幾つかの行事があるヌン族は、それぞれの行事に合わせて、特別な意味のあるおこわやお餅を作ります。

野菜は、茹でるというより、炒める習慣があります。そして、その野菜炒めにお水を加え、スープにします。魚とお肉の場合は、とろ火で煮込むことが少なく、煮たり揚げたりすることが一般的です。特別なことは、ヌン族は牛肉を食べません。

ヌン族の飲食文化を明確に示すのはお正月の食事です。特に、大晦日の食事はその1年のよくなかったことを後にするためのもので、大切にされています。大晦日の食事にはいろいろな料理がありますが、その中で、欠かせないのはアヒルの肉です。大晦日の料理のアヒルは作り方が様々ですが、竹の子と一緒に作る酢っぱいアヒル・スープが一番多いです。ランソン省に住むヌン族の一人ルオン・ヴァン・バックさんは次のように話しました。

(テープ)

「ランソン省に住むヌン族の人々は昔のようなお正月を楽しみます。大晦日の食事に欠かせない料理はアヒルです。ヌン族は、アヒルは年末の料理で、それを食べると、その1年のよくなかったことを忘れて、新年に幸運がたくさんあると信じているんです。」

ヌン族のもう一つの代表的な料理は「カウ・ヌック」と呼ばれるとろ火で煮込んだ豚肉です。「カウ・ヌック」は豚のばら肉をニンニク、唐辛子、お酒、こしょう、シナモンなどと一緒に蒸したもので、独特な味がすると評されています。こうした「カウ・ヌック」は、ヌン族の結婚式や長寿祝いの宴会に出されるほか、お客さんにご馳走する席には欠かせない料理です。

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「マックマット」という葉と一緒に焼かれている豚

ヌン族の食べ物について触れる場合、アヒルや豚肉を「マックマット」という葉を巻いて焼く料理を抜きにして語ることはできません。「マックマット」という木はベトナム北部山岳地帯にたくさんあり、葉と実は漢方薬の原料としてよく使われています。独特な香りがするその葉をアヒルや豚肉の中に詰め込んだ後、切らずに、そのまま焼くという作り方です。こうした焼き方で作られる豚の焼肉は結婚式に欠かせない贈り物です。ランソン省に住むヌン族の一人ノン・ヴァン・チさんは次のように話しました。

(テープ) 

「マックマットの葉っぱは焼肉、特にアヒルと豚の焼肉に欠かせいない食材です。この葉がないと、本物の焼肉といえません。そして、マックマットの実を使うと、さらに美味しくなるんです。」

ヌン族の人々は、もち米のお酒をよく飲みます。飲み方は特別です。二人で一緒にお酒を飲みたいときは、向かいあって立ち、おさかずきを持つ手を相手と組み合いにお互いに腕を抱きしめて一気で飲みます。これは、ずっと離れずそばにいるという意味です。このような飲み方をすると、親友になったことになります。

こうしたヌン族の飲食文化は、国内外の観光客を魅了しており、ランソン省の観光発展に大きく寄与していると評されています。

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