2016年12月31日






12月31日の特別番組

ベトナムの国際社会への参入事業

ソン こちらはベトナムの声放送局です。この放送はハノイからお送りしている日本語放送です。リスナーの皆さん、こんにちは、ソンです。

ゴック こんにちは、ゴックです。いよいよ今年最後の日がやってきました。大晦日ですので、特別番組をお送りします。

(音楽)

ソン まもなく2016年が終わり2017年を迎えますね。

ゴック そうですね。その瞬間、私たちはよくこの年のことを振り返り、新しい年の予定をつくるという習慣がありますね。

ソン そうですね。2016年のベトナムを振り返ると、どんなことが浮かびますか。

ゴック そうですね。2016年は、1986年に始まったドイモイ刷新事業の30周年でした。ドイモイ事業に伴う国際社会への参入事業は大きな話題の一つだと思います。

ソン 私もそう思います。ドイモイ事業の成果としてよく触れられているのはベトナムのダイナミックな経済成長ですが、 その成長は、国際社会への参入事業に支えられているといわれています。それでは、今日の特別番組は、ベトナムの国際社会への参入についてお伝えしましょう。

(音楽)

ゴック ドイモイ刷新事業が始まってからのこの30年、ベトナムの国際社会への参入事業は多くの段階を経てきました。最初、ベトナム共産党は、「国際協力の拡大」という言い方をしましたが、その後、「世界経済への参入」へ変わりました。そして、「世界経済への主体的な参入」、「世界経済への主体的かつ積極的な参入」という概念を導入しましたが、現在、「国際社会への主体的かつ積極的な参入」というスローガンを掲げていますね。

ソン それらの概念の変化に伴って、ベトナムの参入事業は地域経済への参入からグローバルな経済への参入へと発展しました。そして、二国間協力から多国間協力へと、経済協力から多面的な協力へと変わりました。

ゴック これにより、国際社会におけるベトナムの威信は日増しに高まっていますね。ではここで、「国際社会におけるベトナムの威信向上」と題する記事をお送りします。

(記事の内容)

この30年、ドイモイ刷新事業に伴う国際社会への参入事業により、ベトナムの威信はかなり高まっています。1986年以前孤立してたベトナムは現在、国連加盟193カ国の中の187カ国と外交関係を樹立しました。その中の15カ国と戦略的パートナーシップを、他の10カ国と全面的パートナーシップを築いています。特に、国連安全保障理事会常任理事5カ国を始め、日本、インド、ドイツなど世界のほとんどの大国と戦略的パートナーシップか全面的パートナーシップを築くことができました。ベトナムのファム・ビン・ミン副首相兼外相は次のように語りました。

(テープ)

「ベトナムは多くの国と関係を築きました。この15年、幾つかの国と戦略的パートナーシップか全面的パートナーシップを構築することができました。特に、この5年間だけで、ベトナムと戦略的パートナーシップを構築した国は8カ国増えました。戦略的パートナーシップを築いた国の中の10カ国は全面的な戦略的パートナーシップに格上げしました。」

1995年7月にベトナムがASEAN東南アジア諸国連合に加盟したことは、ベトナムの国際社会への参入事業に突破口を開いた出来事であると見られています。また、その翌年の1996年、ASEMアジア欧州会合の創立メンバーとしてベトナムは設立に大きく貢献してきたと評されています。そして、1998年、APECアジア太平洋経済協力会議に加盟しました。特に、2007年1月にベトナムがWTO世界貿易機関に加盟したことはベトナムの国際組織への全面的な参加を示す重要な節目となりました。在ベトナム国連の元コーディネータープラティブハ・メータ氏は次のように語りました。

(テープ)

「ベトナムの国際社会への参入は印象的でした。ASEAN、APEC、ASEMなど地域レベルとグローバルの協力体制のほとんどに参加しており、地域と世界の重要な貿易協定をたくさん締結しました。また、国連の諸活動にも積極的に参加しています。これらは、グローバルな課題の解決に対するベトナムの役割と責任を示していると思います。」

これまで、ベトナムは、二国間か多国間の協力枠組みで12件のFTA自由貿易協定を締結しています。これらの協定は56カ国が参加しています。その中で、ベトナムとEU欧州連合との協定はベトナム経済の更なる発展に弾みをつけてゆくと見られています。

在ベトナムデンマーク大使館のチャロット・ラウルセン大使は次のように語りました。

(テープ)

「ベトナムの国際社会への積極的な参入を示すものとしてあげられるのはベトナムとEU=欧州連合がFTA=自由貿易協定を完了したということです。その他、ベトナムはCOP21=国連気候変動枠組条約第21回締約国会議で採択された「パリ協定」に署名しました。また、各国議員のフォーラムであるIPU=列国議会同盟の総会がベトナムで開催されました。ベトナムで開催された世界イベントとしてこれは最大規模と言えます。国際の場におけるベトナムの役割は日増しに高まっています」

国際社会への参入はベトナムの国内の経済発展と平和維持、世界各国との友好関係の構築に寄与しています。ベトナムは世界に対して、自国が世界各国の信頼にたるパートナーと国際社会の責任があるメンバーであることを裏付けています。

(音楽)

ソン 国際社会への参入を進めてきたこの30年間、ベトナムは外交、政治だけでなく、経済分野においても、多くの成果を収めてきました。

ゴック 国際社会への参入に関する政策を実施してから30年後の現在、ベトナムは世界の155カ国と貿易関係を結んでおり、70の国々、及び、地域からの直接投資を誘致しました。

ソン ベトナムは88件の二国間貿易協定を締結した他、世界の220の国々と地域に製品を輸出しました。2016年、ベトナムは韓国、EU=欧州連合、ロシア・ベラルーシ・カザフスタン3カ国の税関連盟とFTA=自由貿易協定を締結しました。また、ベトナムは地域内の12カ国とTPP=環太平洋経済連携協定を締結しました。

ゴック ベトナムの輸出市場が世界230の国々と地域に拡大されました。2011年・2013年は、輸出の伸び率が22.58%増になりました。2020年をめどに、15件のFTAを締結するという目標の実施により、ベトナムはAPEC=加盟諸国を始め、世界の56カ国と世界の経済中心地と関係を結ぶことができるようになります。

ソン ベトナムは世界の輸出大国トップ30に入っています。現在、石油ガス、通信サービス、繊維製品、農産物などベトナムの幾つかの商品とサービスは国際市場でもトレードマークづくりに成功しています。

(音楽)

ゴック 国際社会への深い参入は、ベトナムの政治的威信の向上だけでなく、ベトナム製品の評判及び国の競争力向上にも貢献していると評されていますね。これにより、国際市場でのベトナム製品のトレードマークづくりは着実に進められています。ではここで、「世界経済におけるベトナムのトレードマークづくり」と題する記事をお送りします。

(記事の内容)

ベトナムの乳製品企業ビナミルク(VINAMILK)社は20年前、海外進出をはじめました。当時、同社のマイ・キェウ・リェン社長は戦争が激化していたイラクに赴き、自社の製品を紹介しました。その結果、1998年、同社の300トンの粉ミルクや、2000トンの液体ミルクが輸出されました。現在、同社の製品は43カ国・地域に愛用されています。リェン社長の話です。

(テープ)

「当初、自信がありませんでした。当時、ベトナムはミルクを100%輸入し、輸出できるとは思えなかったからです。1997年初めに、イラクに数トンの粉ミルクを支援しました。イラク側はその製品の質を検査してから、300トンを試験的に注文しました。全員が喜んで、納期を守るために努力しました。それから、我が社はイラクの入札名簿に盛り込まれました。」

ビナミルクは輸出だけではなく、世界の多くの乳製品企業の株主となっています。ニュージーランドは同社の初の投資先です。2010年、ビナミルク社はニュージーランドの「ミラカ」粉ミルク生産工場の19・3%の株式を購入しました。

3年後、同社がニュージーランドで生産する「ツイン・カウズ(Twin Cows)」という新しい液体ミルクがベトナムで発売されました。また、2015年、同社はこの工場の株をさらに購入し、22・8%に増資しました。さらに、2013年、ビナミルクはアメリカの乳製品会社ドリフトウード(Driftwood Dairy)の70%の株を購入し、アメリカ進出を開始しました。そして、2016年、同社はドリフトウードの100%の株を購入し、この企業のオーナーとなっています。

現在、同社は、ポーランドでも投資プロジェクトを行っています。欧米市場の後、ビナミルク社はアジア市場への投資を進めています。今年5月に、カンボジアの首都プノンペンで、アンコールミルク乳製品工場を開設しました。これらは、「生産・経営のグローバル化」という夢を実現するための同社の効果的な措置と評されています。

一方、ベトナム人民軍の情報通信企業ベトテル(Viettel)社も急速に発展し、世界市場においてトレードマークを確立しています。10年前、同社は海外への投資を開始しましたが、これまで、タンザニアや、ハイチ、カメルーンなど9カ国・地域に進出しています。

現在、ハロテルや、モビテル、テレモルなど同社の複数のトレードマークはこれらの国々で威信のあるものとなっています。ベトテル社は、1億人の顧客がおり、その中に、3500万人の外国人顧客が含まれています。従って、ベトテルは顧客の数が最も多い世界の30社の企業の中の1つとなっています。

今年、外国での経営からの同社の収益額はおよそ14億ドルに達する見込みです。12月17日に行われたベトテル社の海外進出開始10周年記念式で、グエン・スアン・フック首相は次のように評価しました。

(テープ)

「ベトテル者は、有名なトレードマークとなっており、大規模な投資を行っているだけではなく、投資先で社会問題を解決できる信頼に足る投資家ともなっています。良いトレードマークはその企業の財産であるだけではなく、国家の財産でもあります。」

ミナミルク社とベトテル社の発展はベトナム企業の発展速度と潜在力を示すものと見られています。これらの企業の海外でのトレードマークづくりと確保はベトナムの国際社会への参入の成功に貢献すると評価されています。

(音楽)

ソン 国際社会への参入事業は、企業の役割を抜きにして語ることができません。ベトナム政府は、この事業をさらに促進させるため、国内企業を成長させる方針です。最近、ベトナムでは、スタートアップ(起業)という言葉が社会的話題になっています。統計によりますと、2016年、新規に設立された企業の数は11万社にのぼっており、過去最多となっています。「スタートアップ・ブーム」が起きていると言えますね。

ゴック そうですね。企業そのものはベトナムの国際社会への参入事業を新しい発展段階に押し上げると期待されています。ではここで、「世界経済への参入を目指すスタートアップ」と題する記事をお送りします。

(記事の内容)

ベトナム人の起業家ファム・バン・タムさんはテレビの生産、商売に携わって、国内市場でかなりのシェアで販売した上で、外国市場に進出しています。

1980年生まれのタムさんは23歳の時にホーチミン市内の電化製品・電子部品市場であるNhat Tao市場で商売を始めました。これまで、日本、タイ、インドネシア、マレーシア、中国に出向き、テレビやCDデッキを仕入れて、販売してきました。

商売が拡大して、経験と資本が十分に蓄積した2014年にテレビを組立てる工場を立ち上げました。ASANZOという自社ブランドの液晶テレビを製造販売して、2014年では12万2千台、そして、2016年末まででおよそ50万台を出荷できたとのことです。ASANZOというブランドの液体テレビはラオス、カンボジア、キューバにも輸出されています。タムさんは2017年、2番目の家電生産工場を建設する計画があります。タムさんの話です。

(テープ)

「現在、ある韓国企業が韓国で当社製品を独占的に販売する権利を得るよう、我々と交渉中です。彼らに対し、高い収益ではなく、ASANZOブランドを確保するよう求めました。国際市場でベトナムの農産物だけでなく、電子製品のシェアを拡大するよう希望しています。」

そういう意味で、ASANZOはテレビを突破口に成長して、ベトナムで企画開発される商品をどんどん世界に出していくでしょう。

他方、国内の企業界でよく知られているグエン・トゥアン・クインさんはサイゴン・ペトロ社やサイゴン・ガス、フーニュアン貴金属宝石会社など、複数の大手企業の主要ポストを歴任しています。2015年、クインさんは44歳で起業し、アルファ・ブック株式会社を設立しました。若者の起業と参入についてクインさんは次のように語りました。

(テープ)

「世界経済への参入やベトナム製品のピーアールは単にベトナム製品を各国に輸出するだけでなく、グローバル・バリュー・チェーンでのベトナム製品の結合でもあります。つまり、ベトナム企業はバリューチェーンの一つの輪となり、他の国内企業を通じて、外国向けの製品やサービスを提供することです。」

クインさんによりますと、現在、ベトナム企業のトレードマークは世界的知名度を博していません。ベトナムのトレードマークの持続的な発展と国際市場での地位確保は大きな投資を求めています。それで、ベトナム企業は起業直後、効果的な活動を行い、着実な発展を遂げなければならないとしています。

(音楽)

ソン この30年国際社会への参入事業は、ベトナムの経済社会の発展に大きな貢献をしてきましたが、ベトナムはこれからも、この道のりを辿り続けますね。

ゴック その通りです。リスナーの皆さん、2016年の最後のこの番組はベトナムの国際社会への参入事業についてお伝えしました。普段より長い番組になりましたが、ご清聴ありがとうございました。来年がよい年になりますように。素敵なお正月をお過ごしください。


ご感想

木本隆

12月31日放送の最後に流れた曲の歌詞になんども”ベトナム”という言葉が出て来ましたが、この曲はどんな時に歌われるのでしょうか? 私は聞きやすいきれいな曲と感じました。この曲の歌詞の日本語訳をいつか機会があればご紹介ください。

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