イランの核合意、決裂の恐れ

(VOVWORLD) - 8日、イランのローハーニー大統領は、「本日、アメリカによるイラン核合意からの違法な離脱、並びに安保理決議2231への違反からちょうど1年を迎える」とし、「我々は、核合意のその他の署名国に対し、我が国の濃縮ウランと重水を今後売却しない旨を通告した」と述べました。

また、「イギリス、ドイツ、フランス、ロシアと中国の核合意関係国に対し、我々は今後60日間は協議の席に着く猶予があること、これら5カ国との協議が成果をもたらし、特にイランにとって2つの主要な利益である銀行や石油といった分野をはじめ、基本的な利益が確保されるのであれば、以前の状況に戻すこと、しかし、60日過ぎても成果に至らない場合には、別の2つの措置を開始することを伝えた」と説明しました。

ローハーニー大統領は再度、「イラン核合意の関係5ヶ国に対しては、我々の本日の措置に異を唱え、イラン核問題を安保理に付託するようなことがあれば、イランの断固たる反応を受けることになる」と警告しました。

イランとアメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、ロシア、中国6カ国は2015年、イランが核開発を大幅に制限する見返りに、欧米がイランへの経済制裁を解除することで合意しました。しかし、2017年に政権に就いたトランプ大統領は、オバマ政権下で結ばれたこの合意を「最悪の取引」として尊重せず、2018年5月に合意から一方的に離脱してイランへの制裁を再開しました。

また、アメリカはイランへの圧力をさらに強めています。「イランや代理勢力が中東の米軍への攻撃を準備しているとの明確な情報」(国防総省)に基づき、原子力空母やB52戦略爆撃機を中東地域に派遣しました。

イラン情勢を巡る緊張が一段と高まっています。イランは圧力を強めるアメリカに反発していますが、国内では制裁によって経済が悪化しています。強硬な姿勢を維持しながらもアメリカとの衝突は避け、さらにヨーロッパとの交渉で事態の打開を図るという難しいかじ取りを迫られています。

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