パンデミック新条約、期限までに合意は不透明

(VOVWORLD) - 先週、WHO世界保健機関加盟各国は、コロナ禍を教訓に新たな感染症のパンデミック(世界的大流行)に備える国際条約の策定作業で合意に至らず、交渉継続を決めました。

27日からの年次総会までに、条約案の修正を進めるとしています。

WHOに加盟する194カ国の交渉担当者は、今月下旬に開かれるWHOの総会で法的拘束力のある文言を採択することを視野に入れ、10日の終わりまでに最終合意案をまとめることを目指していました。

「パンデミック条約」は、国際的な感染症対策を強化し、新たなウイルスの流行を予防しようと、各国が2年かけて交渉を進め、5月、開かれるWHO総会での採択を目指しています。会合は非公開で行われていて、先立って公開された条約の草案では、締約国は感染症対策のための包括的な計画を策定し、定期的に見直すことや途上国の対策を支援するため資金を拠出することなどが盛り込まれています。
さらにワクチンや治療薬を途上国でも生産できるよう、技術の移転を促し、パンデミックの際には、医薬品の製造業者などに対し、特許を緩和したり、妥当な特許使用料を設けたりすることを奨励することも盛り込まれています。

パンデミックに対処するための既存の規則改定と並び、新たな病原体に対する世界的な予防態勢を強化することが条約文書の目的となります。

専門家は、交渉では公平性などを巡って意見の大きな隔たりがあり、合意に向けた日程がタイトだったと指摘しました。一般に条約として知られるこの協定は、一部の国では政治的な問題にもなっています。

また、交渉に関わったある当局者によりますと、大半の国がワクチンへの公平なアクセスに力強く取り組むことを支持しましたが、最終合意には至りませんでした。

外部の専門家らは、多くの国で今年は選挙が控えていることもあり、条約への政治的な機運が失われることは長期的な遅れが生じればリスクになると言及しました。

感染症によるパンデミック(世界的大流行)発生時の世界的な準備を整える国際条約について、WHOのテドロス事務局長は22日の理事会で演説し、目標としている5月までの合意が達成されない恐れがあり、そうなれば将来の世代に大きな打撃になると表明しました。テドロス氏は、「加盟国がこの目標へのコミットメントを満たさない恐れがあると懸念している。いくつかの問題は期限を過ぎても解決していない」と指摘しました。「新条約締結とIHR改定を実現できなければ、機会が失われ将来の世代はわれわれを許さないかもしれない」と述べました。

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