シリアでの虐殺事件を巡る問題

既にお伝えしましたように、シリア中部の町ホウラで25日、子どもと女性多数を含む住民100人以上が殺害されました。この「虐殺」事件は国際社会から強い非難を受けているだけでなく、シリアでの平和挽回のための国際社会の努力を無効にする可能性があるとみられます。

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国連安全保障理事会は27日、この「虐殺」があったことを受けて、緊急非公式会合を開きました。会議は声明を出し、その中で、この虐殺を強く非難した上で、政府軍に対し、部隊と重火器をただちに撤退させるよう要求しました。国際社会でも怒りと非難の声が上がっています。

ロシアのイゴール・パンキン国連副大使も27日、国連で報道陣に対し、シリア政府がこの虐殺に責任があるのかは疑いが残ると述べました。

国連の潘基文事務総長と、国連とアラブ連盟の合同特使のアナン前国連事務総長も26日、共同声明を出し、「恐ろしく残酷な犯罪」であり、関与した人物は責任を問われなければならないとしました。

また、アメリカのクリントン国務長官は26日、声明を出し、政府軍による虐殺だとして強く非難し、アサド政権に対する圧力を強化する方針を表明しました。

一方、シリア政権側は関与を否定し、反政府勢力側の攻撃によるものだと主張しました。シリア外務省報道官は報道界に、「今回の大虐殺は政府軍によるものではないと断言する」と強調し、「シリアの女性、子ども、お年寄りら国民を標的にした虐殺行為を強く非難する」と述べました。

こうした中、国際社会はシリアでの情勢の悪化に深い懸念を示しています。日本を訪れているイラクのゼバリ外相は、この虐殺事件について「大きな転換点だ」とし、そして、市民への弾圧が続く隣国シリアの情勢について、「イラクのような内戦状態に陥るおそれがあると指摘したうえで、国連安全保障理事会が新たな決議案など次の措置を取る必要がある」との考えを示しました。

国際世論は「シリアの緊張情勢が長引けば長引くほど、シリア国民は苦しみ、中東地域はより危険になる」と強い危機感を示しています。

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