ラオカイ省ムーカンチャイ村。秋になると黄金色の棚田で知られる人気の目的地。ラーパンタンやチェクニャといった有名スポットのほかに、ハンダンゼー集落は、まだあまり知られていない、素朴で静かな風景が残る場所
ハンダンゼー集落は、旧ムーカンチャイ県の中心部から10キロあまり。細く急な山道が続くが、その先には谷間いっぱいに広がる黄金色の棚田の景観が待っている
集落全体でも、棚田のあいだに少数民族モン族の家が数十軒ほど建つだけ。稲が実る頃になると、山肌一面がまばゆい黄色に染まり、陽光を反射してベトナム西北部の山岳地帯ならではの風景をつくり出す
有名観光地のような騒がしさはなく、ハンダンゼーには今もゆっくりとした暮らしが流れる。人々は早朝に田んぼへ出て稲を刈り、夕方にはかまどに火を起こして夕食の支度。うっすらと立ち上るかまどの煙が、山腹にたなびく
「今年はお客さんが増えたが、みなさん礼儀正しくて、写真を撮り終えると笑顔であいさつしてくれた。私たちは例年どおりに稲刈りを続けるだけ。村をきれいに保って、また来たいと思ってもらえたらうれしいね」と、ハンダンゼーの住民が話す
ハンダンゼーを訪れる旅行者の多くは、地元の人が営むホームステイに泊まり、山岳地帯ならではの食事を楽しむ。山のもち米で炊く蒸しおこわ「ソイ・ネップ・ヌオン」、渓流で獲れた魚の炭火焼き、山菜、香り高いとうもろこしの蒸留酒「トウモロコシ酒」など、その土地ならではの料理が並ぶ。ハノイから訪れた旅行者グエン・タイン・チュンさんは、「ムーカンチャイには何度も来ているが、ここは少し違う。人も多くなく、せかせかした感じもない。聞こえるのは風の音と、稲刈りをする人たちの声だけで、心がふっと軽くなる」と話す
山の斜面に沿って幾重にも連なる棚田。段々状のラインが、やわらかな稲の波となって斜面いっぱいに広がる
ムーカンチャイ全体が黄金色に染まる季節のただなかでも、ハンダンゼー集落は、静かで素朴、どこか懐かしい雰囲気を保ち続ける
観光地化もされておらず、騒がしさとも無縁のこの場所。飾り気のない「ありのままの西北部」を求める人たちが、少しずつ足を運ぶようになっている

ラオカイ省ハンダンゼー集落で出会う、静かな黄金の棚田の季節


(VOVWORLD) - 棚田の稲が一斉に色づく「黄金の季節」を迎え、ベトナム西北部の名所ムーカンチャイでは、この時期を「黄金の季節」と呼んでいます。そんなにぎわいの中で、ハンダンゼー集落は今も素朴な姿を保ち、静かに稲穂の実りを味わいたい旅行者にとって理想的な場所となっています。この写真記事を通して、その景色をご覧ください。

クアン・トゥエン、ビエン・ミン(VTC News)