岩石高原のフォーに宿る「トウモロコシの魂」

(VOVWORLD) - 少数民族の伝統食トウモロコシご飯「メンメン」から着想を得て、トゥエンクアン省・ドンヴァン岩石高原の料理人たちは、新たに「トウモロコシのフォー(フォー・ゴー)」を生み出しました。

とうもろこし粉を手作業で延ばし、切り出して作るこのフォーは、独特の色合いと香りを持ち、この土地ならではの食文化として親しまれています。これは米のフォーでもなく、小麦麺でもありません。畑で実ったとうもろこしを乾燥させ、細かく挽き、こねて伸ばし、黄金色の麺状に切り分けたものです。素朴で飾り気のない麺は、この土地そのものの質朴さを映し出しています。

フォー・ゴー作りは、とうもろこしの選定、浸漬、挽き、ふるい分けなど、極めて手間のかかる工程を経て完成します。使用できるのは、この高原で暮らす少数民族が栽培する在来品種のみ。交雑したハイブリッド種では鮮やかな黄色が出ず、風味も弱くなってしまいます。

ヴァン・ティ・スング(H'mong Villageリゾートの料理人)

(テープ)

「コシのある美味しい麺にするには、傷んでいない、粒が揃っていて新鮮なとうもろこしを選ばなければなりません。主に『ゴー・テー』というトウモロコシを使います。収穫後にしっかり乾燥させ、6〜8時間ほど水に浸して粒を膨らませてから粉に挽きます。」

フォー・ゴーは100%とうもろこし粉で作られるため、麺は黄金色でほのかに香ばしい風味があります。製麺は伝統的なフォーと同じく手作業で蒸し板に薄く広げて作りますが、とうもろこし粉は米粉より粘度が低いため、より高度な技術が求められます。冷ました生地は長方形に折り重ね、切る際に崩れないように仕上げます。こうして、独特で風味豊かな麺ができあがります。

ヴオン・ドゥック・バン(フォー・ゴー共同考案者)

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「とうもろこしは丁寧に外皮をこすり落として洗浄し、粉に挽いてから麺生地として蒸し上げます。2〜3分で1枚の生地ができあがります。フォー・ゴーの味わいは『とうもろこしそのもの』の風味です。スープには野菜や根菜を加え、さらに旨味を引き立てています。」

素朴で飾らない料理ではありますが、フォー・ゴーを一口食べると、スープの香りから麺の風味まで、ドンヴァンの人々と同じく質朴で温かい魅力が感じられます。

ブイ・フイ・ドアン(バクニン省)

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「フォー・ゴーを食べると、かつて高地で働いていた日々を思い出します。とても特別な料理で、麺はハノイのフォーに匹敵する美味しさです。本当に好きですね。」

マイ・ヴァン・ティエップ(タインホア省)

(テープ)

「トゥエンクアンの食文化に興味があり、このフォーを探して食べました。とても香ばしく、特に麺が普通のフォーとはまったく違います。鮮やかな黄色が印象的で、食欲をそそります。」

ドンヴァン岩石高原のとうもろこしから生まれたフォー・ゴーは、今、魅力的でユニークな料理として受け入れられています。それは単なる「料理」ではなく、自然環境に合わせて生きてきた人々の知恵の結晶です。

米が岩に勝てない土地で、山の「黄金の粒」であるとうもろこしが姿を変え、思いがけない「フォー」として生まれたのです。

派手な盛り付けや複雑なスパイスはなくても、「持っているものを活かし、他の地域にはないものを作り出す」。それが山岳地帯の創造力。それが、フォー・ゴーです。

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